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2025.07.22
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物流倉庫(委託倉庫)とは?委託倉庫を利用するメリット・デメリットについて徹底解説
近年のEC市場の拡大や物流需要の高まりに伴い、「委託倉庫」という選択肢が注目を集めています。自社で倉庫を運営するか、それとも専門業者に委託するか—この選択は、企業の成長戦略や収益性に大きな影響を与えます。 本記事では、物流倉庫(委託倉庫)の基本的な仕組みから、具体的な種類、業務内容、そしてメリット・デメリットまでを詳しく解説します。倉庫運営でお悩みの企業様にとって、最適な選択をするための判断材料をご提供いたします。 目次 物流倉庫(委託倉庫)の役割とは? 物流倉庫(委託倉庫)の種類 物流倉庫(委託倉庫)の業務内容 自社倉庫と委託倉庫の比較 委託倉庫を利用するメリット 委託倉庫を利用するデメリット 委託倉庫選びのポイント まとめ 物流倉庫(委託倉庫)の役割とは? 物流倉庫とは、「商品の保管や配送に向けた業務を行う倉庫」のことを指します。単なる保管場所ではなく、現代の物流においては、検品から梱包、配送準備まで一連の作業を効率的に行う重要な拠点となっています。 なぜ委託倉庫が注目されるのか? 従来、多くの企業が自社倉庫を所有・運用してきましたが、以下のような課題が顕在化しています 高額な維持費: 倉庫の建設費、設備投資、固定資産税などの継続的な負担 人件費の増大: 倉庫作業員の確保と教育にかかるコスト 業務の非効率性: 物流に関する専門知識やノウハウの不足 需要変動への対応困難: 繁忙期と閑散期の業務量格差への対処 これらの課題を解決する手段として、委託倉庫を利用する企業が急速に増加しています。委託倉庫を活用することで、コストの最適化はもちろん、業務効率化や物流品質の向上といった多面的なメリットが期待できるのです。 物流倉庫の基本機能 現代の物流倉庫は、以下の基本機能を備えています: 機能内容重要性保管機能商品を適切な環境で安全に保管★★★★★検品機能入庫時の品質チェック、数量確認★★★★★仕分け機能出荷先別、商品別の効率的な仕分け★★★★☆梱包機能配送に適した梱包・包装作業★★★★☆流通加工機能ラベル貼付、セット商品化等の付加価値作業★★★☆☆ 物流倉庫(委託倉庫)の種類 委託倉庫は、その機能や特徴によって大きく4つのタイプに分類されます。それぞれの特性を理解することで、自社のビジネスモデルに最適な倉庫タイプを選択できます。 1. TC(トランスファーセンター) クロスドッキングとも呼ばれるTCは、在庫を持たない中継型の倉庫です。 項目詳細主な機能荷物の積替え、仕分け作業在庫保管なし(通過型)適用業界食品・日用品の卸売業、宅配便業界処理時間24時間以内の迅速処理 メリット 在庫管理費が不要 効率的なトラック配車が可能 物流コストの削減効果が高い デメリット 入荷と出荷のタイミング調整が困難 商品の長期保管ができない 需要予測の精度が重要 2. FC(フルフィルメントセンター) ECサイトに特化した包括的なサービスを提供する倉庫です。 サービス範囲具体的な業務内容受注処理注文受付、在庫引当、決済処理倉庫業務ピッキング、梱包、出荷顧客サービス問い合わせ対応、返品処理アフターサービス商品交換、サポート対応 適している企業 ECサイト運営企業 D2Cブランド スタートアップ企業 物流業務をアウトソースしたい企業 注意点 手数料が発生するため、利益率への影響を考慮 顧客との直接接点が減少 社内ノウハウの蓄積が困難 3. DC(ディストリビューションセンター) 大量の在庫を保管し、迅速な配送を実現する配送型倉庫です。 特徴詳細保管能力大容量(数千〜数万SKU対応)配送範囲広域配送(全国規模)在庫期間中長期保管(1週間〜数ヶ月)システム高度なWMS(倉庫管理システム)導入 コスト構造 保管面積に比例した固定費 在庫管理システムの運用費 専門スタッフの人件費 空調・設備の維持費 4. PDC(プロセスディストリビューションセンター) DCの機能に加え、専門性の高い流通加工を行う高付加価値型倉庫です。 加工の種類対象商品例付加価値食品加工生鮮食品のカット、パッキング消費期限の延長組立加工家具、電子機器の組立完成品での配送カスタマイズ加工アパレルの刺繍、プリント個別対応サービスギフト加工ラッピング、のし付け季節需要への対応 物流倉庫(委託倉庫)の業務内容 物流倉庫では、商品が入荷してから出荷されるまでの一連の流れを効率的に管理しています。以下、4つの主要工程について詳しく解説します。 1. 入庫と検品 入庫工程は物流品質の基盤となる重要な作業です。 作業段階具体的な内容使用システム・機器荷受けトラックからの荷卸し、数量確認ドックシェルター、フォークリフト検品商品の破損確認、品番照合ハンディターミナル、バーコードスキャナー入庫ロケーション決定、在庫計上WMS(倉庫管理システム) 温度管理対応 多くの委託倉庫では、多温度帯管理に対応しています: 温度帯温度範囲対象商品管理ポイントドライ(常温)15-25℃一般食品、日用品湿度管理チルド(冷蔵)0-10℃生鮮食品、冷蔵品温度変動の最小化フローズン(冷凍)-18℃以下冷凍食品解凍防止定温一定温度維持医薬品、化粧品精密温度制御 2. ピッキングと仕分け 出荷指示に基づいて正確かつ迅速に商品を集める作業です。 ピッキング方式の比較 方式特徴適用場面効率性シングルピッキング1注文ずつ商品を集める少量多品種★★☆☆☆バッチピッキング複数注文をまとめて処理中量多品種★★★☆☆ゾーンピッキングエリア別に分担して作業大量多品種★★★★☆自動ピッキングロボットやシステムで自動化大量少品種★★★★★ 品質管理のポイント ダブルチェック体制の構築 作業者の教育・訓練 ミス防止システムの導入 定期的な精度測定 3. 流通加工 商品に付加価値を付ける重要な工程です。 加工種類作業内容導入効果対象商品例ラベル貼付価格ラベル、バーコードの貼付店頭陳列の効率化小売商品全般セット商品化複数商品のセット組み販促効果の向上ギフト商品ギフト包装包装紙、リボン、のし付け季節需要の取り込み贈答品個別梱包商品別の専用パッケージブランド価値の向上高級品 4. 梱包と出庫 最終工程である梱包・出荷作業の品質が、顧客満足度に直結します。 梱包材の選定基準 商品特性推奨梱包材保護レベルコスト効率軽量・小型封筒、小型ダンボール標準高重量物強化ダンボール高中割れ物緩衝材+専用ボックス最高低冷蔵・冷凍保冷ボックス特殊低 出荷精度向上のための取り組み 出荷前の最終検品実施 配送ラベルの自動生成・照合 輸送品質を考慮した梱包設計 配送業者との連携強化 自社倉庫と委託倉庫の比較 自社倉庫と委託倉庫、どちらを選択するかは企業の成長段階や事業戦略によって異なります。あくまで一例とはなりますがEC倉庫に主点を置いた場合の比較が下記となります。 基本的な違い 項目自社倉庫委託倉庫管理主体自社委託先企業投資規模大(初期投資大)小(従量課金制)運用開始長期(6ヶ月〜2年)短期(1〜3ヶ月)スケーラビリティ低(固定容量)高(変動対応) コスト構造の比較 自社倉庫のコスト構造 コスト項目月額概算(1,000坪)年間コスト備考建設費償却300万円3,600万円20年償却人件費500万円6,000万円20名体制光熱費50万円600万円冷蔵設備含む設備維持費100万円1,200万円システム・機器その他経費50万円600万円保険・税金等合計1,000万円1.2億円- 委託倉庫のコスト構造 料金項目単価月間処理量月額コスト保管料100円/坪・日500坪150万円入庫料50円/件10,000件50万円出庫料100円/件8,000件80万円流通加工料30円/件5,000件15万円システム利用料--20万円合計--315万円 運用面での比較 評価項目自社倉庫委託倉庫優位性初期投資大小委託倉庫運用コスト固定費中心変動費中心場合による品質管理直接管理間接管理自社倉庫情報共有リアルタイムタイムラグ有自社倉庫柔軟性低高委託倉庫専門性限定的高度委託倉庫 委託倉庫を利用するメリット 委託倉庫の利用は、多くの企業にとって戦略的な選択肢となります。 以下、主要な5つのメリットについて詳しく解説します。 1. 業務の効率化 効率化される業務範囲 業務カテゴリ従来の社内業務委託後の変化効率化効果倉庫管理在庫管理、スタッフ管理委託先が担当管理工数90%削減システム運用WMS管理、保守対応専門チームが対応システム障害50%減人材育成作業員の教育・訓練不要教育コスト100%削減品質管理検品体制の構築専門ノウハウ活用品質向上20% リソースの最適配分 委託倉庫の活用により、以下の領域に経営資源を集中できます 商品開発・企画 マーケティング・販促活動 顧客サービスの向上 新規事業の検討 2. コストの最適化 コスト削減の詳細分析 コスト項目自社運用委託運用削減効果固定費月1,000万円月200万円80%削減変動費限定的取扱量連動最適化初期投資5億円500万円90%削減人件費月500万円月100万円80%削減 変動費構造のメリット 委託倉庫では従量課金制により、以下の利点があります 閑散期のコスト抑制 成長段階でのリスク軽減 キャッシュフローの改善 予算計画の精度向上 3. 急な注文や繁忙期への柔軟な対応 対応力の比較 状況自社倉庫の対応委託倉庫の対応結果注文量2倍増残業対応、品質低下人員増強、品質維持委託が有利季節変動通年固定人員必要時のみ増員コスト効率化急な大口受注対応困難スケール対応機会損失防止 4. 人手の削減効果 人材配置の最適化 部門削減人員再配置先効果倉庫部門20名営業・企画部門へ売上20%向上品質管理5名商品開発部門へ開発速度30%向上システム管理3名IT戦略部門へDX推進加速 5. 物流品質の向上 品質向上の具体的指標 指標自社運用委託運用改善率出荷精度99.2%99.8%0.6ポイント向上リードタイム3日1.5日50%短縮顧客満足度4.2/5点4.6/5点9.5%向上クレーム率0.8%0.3%62.5%削減 委託倉庫を利用するデメリット 委託倉庫には多くのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。これらを理解し、適切な対策を講じることが重要です。 1. 業務ノウハウの蓄積困難 ノウハウ蓄積への影響 知識・技能の種類影響度対策の重要度推奨対策在庫管理技術高★★★★★定期的な研修参加品質管理手法高★★★★☆委託先との技術交流物流システム中★★★☆☆システム理解の維持作業効率化中★★☆☆☆ベストプラクティスの共有 将来的なリスクと対策 将来の内製化を検討している企業は、以下の対策が有効です: 対策項目具体的な方法実施頻度期待効果人材派遣社員を委託先に派遣月1回実務経験の蓄積定期報告委託先からの詳細レポート週1回運用状況の把握システム共有WMSの画面共有・研修月1回システム理解の向上改善提案業務改善への参画随時ノウハウの共有 2. 情報伝達のタイムラグ 情報伝達における課題 情報の種類タイムラグビジネスへの影響対策の優先度在庫状況1-2時間在庫切れリスク★★★★★出荷状況30分-1時間顧客問い合わせ対応★★★★☆品質問題2-4時間クレーム対応遅延★★★★★システム障害1-2時間業務停止リスク★★★★☆ 情報共有の改善方法 現代の委託倉庫では、ITシステムを活用した情報共有の改善が進んでいます: 技術・システム導入効果コスト導入期間リアルタイムWMSタイムラグ90%削減月50万円3ヶ月API連携自動データ同期月20万円1ヶ月ダッシュボード可視化・分析強化月30万円2ヶ月アラート機能異常時即座通知月10万円2週間 コミュニケーション体制の最適化 連絡手段使用場面応答時間効果専用チャット日常的な連絡10分以内迅速な対応定期会議課題・改善の討議週1回関係性の強化緊急連絡網トラブル発生時5分以内被害の最小化月次レポート実績・分析報告月末戦略的判断材料 委託倉庫選びのポイント 適切な委託倉庫を選択することは、事業成功の重要な要因となります。以下、選定時に確認すべきポイントをまとめました。 選定基準の評価表 評価項目重要度確認ポイント評価方法立地・アクセス★★★★★主要配送先からの距離配送コスト試算設備・システム★★★★★WMS、自動化機器の導入状況システムデモ確認サービス品質★★★★★出荷精度、リードタイム実績データ開示コスト競争力★★★★☆料金体系の透明性複数社比較見積拡張性★★★★☆将来の事業拡大への対応力拡張計画の確認専門性★★★☆☆業界特有の要求への対応同業他社実績確認 業界別の選定ポイント 業界重要な要求事項確認すべき設備・サービス食品・飲料温度管理、衛生管理、賞味期限管理多温度帯対応、HACCP認証アパレルサイズ・色別管理、返品処理ハンガー保管、検針機化粧品・医薬品品質保持、厳格な管理定温倉庫、セキュリティ電子機器静電気対策、精密管理ESD対策、クリーンルームEC・通販多品種少量、迅速配送自動化設備、当日出荷対応 契約前のチェックリスト チェック項目確認方法重要度備考現地視察実際の作業現場確認必須複数回の訪問推奨実績確認同業種の取扱実績必須具体的な事例紹介料金明細詳細な費用内訳必須隠れコストの確認SLA設定サービスレベル合意必須品質基準の明文化セキュリティ情報・物理セキュリティ必須認証取得状況確認BCP対策災害時の継続計画推奨代替拠点の確保状況 契約交渉のポイント 委託倉庫との契約では、以下の点を重点的に交渉することが重要です: 交渉項目交渉のポイント期待できる効果料金体系従量課金制の詳細設定コスト予測の精度向上品質保証SLA違反時のペナルティサービス品質の担保契約期間柔軟な解約条項の設定事業変化への対応力確保システム連携API利用料金の交渉システム統合コスト削減付帯サービス流通加工等の料金設定トータルコストの最適化 まとめ 物流倉庫(委託倉庫)は、現代のビジネス環境において企業の競争力強化に欠かせない戦略的パートナーです。本記事でご紹介した内容を踏まえ、最後に重要なポイントを整理いたします。 委託倉庫活用の成功要因 要因具体的なアクション期待される成果明確な目標設定KPI設定、定期レビューROI向上、継続的改善適切なパートナー選択複数社比較、現地確認長期的な信頼関係構築システム統合API連携、リアルタイム共有業務効率化、情報の透明性継続的な改善定期的な見直し、最適化サービス品質の向上 企業規模別の活用指針 企業規模推奨される活用方法重視すべきポイントスタートアップFCの全面活用初期コスト削減、スピード中小企業段階的な委託範囲拡大コスト効果、品質向上大企業ハイブリッド運用戦略的パートナーシップ 今後の物流業界トレンド 物流業界は急速な変化を続けており、以下のトレンドに注目が集まっています: トレンド技術・手法企業への影響自動化・ロボット化AGV、ピッキングロボット人件費削減、24時間稼働AI・機械学習需要予測、最適化アルゴリズム在庫精度向上、コスト削減サステナビリティ環境配慮型包材、省エネ設備ESG経営への貢献オムニチャネル対応店舗・EC統合配送顧客体験の向上 最終的な判断指針 委託倉庫の活用を検討する際は、以下の判断フローを参考にしてください: 1. 現状分析 ↓ 2. 目標設定・課題の明確化 ↓ 3. 自社運用vs委託のコスト比較 ↓ 4. 複数の委託倉庫候補の比較検討 ↓ 5. パイロット運用の実施 ↓ 6. 本格導入・継続的改善 成功事例の特徴 多くの成功企業に共通する特徴: 段階的な導入: 一部業務から始めて徐々に拡大 密接なコミュニケーション: 委託先との定期的な情報交換 データ活用: 実績データに基づく継続的な改善 柔軟性の確保: 事業変化に応じた契約内容の見直し 物流倉庫(委託倉庫)の活用は、単なるコスト削減手段ではなく、企業の成長戦略を支える重要な基盤です。自社の事業特性と成長段階を踏まえ、最適なパートナーとの協力関係を構築することで、持続的な競争優位を実現できるでしょう。 委託倉庫の選択に迷われた際は、ぜひ本記事の比較表やチェックリストを活用していただき、貴社にとって最適な物流パートナーを見つけていただければ幸いです。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.07.16
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EC物流センターってなに?わかりやすく説明します
CONTENTS ・そもそも物流センターって? ・どんな仕事をしてくれるの? ・EC物流センターのメリットとは? ・どんなEC事業者に向いてるの? ・どんなメリットがあるの? ・どう選べばいいの? ・まとめ:EC物流センターは“ネットショップの縁の下の力もち” ・神谷商店が提供する、安心・柔軟・高品質なEC物流センターサービス ◾️そもそも物流センターって? 物流センターは、メーカーや仕入れ先から届く大量の商品を「ひとまず預かり、必要なときに正しい数量を出荷する“中継地点”」です。スーパーマーケットの裏側や大手通販会社の出荷拠点を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。店舗やお客様へ届ける前に商品をまとめて置き、注文が入ったらピッキングして箱に詰め、配送業者へ渡します。要は「商品をストックし、正しいタイミングで送り出す」ことが物流センターの役割です。 ♦︎EC物流センターってどんなところ? ネット通販(EC)では、1件1個の注文や、同じ日に何十件も入る注文など動きが細かく速いのが特徴です。普通の物流センターよりも「スピード・正確さ・小ロット対応」が求められるため、EC物流センターには次のような専用の仕組みが整っています。 ポイントしくみうれしい効果注文データが自動で入るネットショップとシステム連携し、注文が入ると即座に倉庫へ通知手入力が不要になり、入力ミスが大幅に減る小さな注文にも強い1件1点でも、複数点でもバーコードやライト表示で正確にピック出荷ミスが少なく、作業スピードが速い当日〜翌日発送梱包資材選びと送り状発行を自動化し、締め切り時間までに迅速出荷早く届くのでお客様の満足度が上がる ネット通販では“少量多品種”の注文が日々発生するため、このような仕組みが欠かせません。 ♦︎倉庫とのちがいは? ふつうの倉庫は「商品を長期間保管する場所」ですが、EC物流センターは注文受付から梱包・発送、さらには返品対応までを担うワンストップ拠点です。 比較項目一般的な倉庫EC物流センター商品の管理長期保管がメインすぐ出荷できる短期保管が中心出荷先小売店・工場など法人ネットで買った個人のお客様サービス範囲保管と仕分けが中心梱包・同梱チラシ・ギフト包装・返品処理まで対応システム連携手作業やエクセル管理が多いネットショップとAPI連携して在庫と受注をリアルタイム同期 このように、EC物流センターはただの倉庫ではなく、ネットショップの裏側を支える“縁の下の力もち”です。お店とお客様をミスなくスムーズにつなげることで、ショップ運営者は商品の企画やマーケティングに集中できるようになります。 ◾️どんな仕事をしてくれるの? ネットショップで「注文ボタン」が押されたあと、商品が届くまでの裏側では,実はたくさんの工程が動いています。EC物流センターはそのすべてをまとめて請け負ってくれる “発送のプロ集団”。ここでは、どんな仕事をしているのかを順を追って紹介します。 1. 注文前──商品が届いたらまずやること 仕入れ先やメーカーから商品が届くと、センターのスタッフは数やキズを確認し、バーコードを読み取ってシステムに登録します。この「入庫」と「検品」をきっちりやることで、在庫ズレやクレームの芽を早い段階でつぶせるんですね。 2. 注文が入ったら──取り出しから梱包まで 注文データはネットショップと連携しているので、自動で倉庫システムに届きます。スタッフはハンディ端末を見ながら棚へ向かい、正しい商品をピッキング。そのままサイズに合った箱に詰め、緩衝材で保護し、送り状をプリンターで発行して貼り付けます。ここまでがワンストップ。スピードが命です。 3. 出荷のあと──返品や同梱もおまかせ 希望があればチラシやクーポンを一緒に入れたり、ギフト包装や熨斗(のし)にも対応。万が一の返品はセンターが受け取り、再販できるかを判断して在庫へ戻します。 ♦︎仕事の流れ 仕事内容具体的に何をする?ポイント入庫商品を受け取って数量・外装をチェックし、システム登録最初に間違いを防いで在庫ズレを回避検品キズ・汚れ・型番違いを確認、バーコードで照合不良品を早めに見つけてクレーム減保管サイズ・温度に合う棚やパレットへ収納、ロケーションを管理「どこに何があるか」がすぐ分かるピッキング注文内容に合わせて商品を取り出すハンディ端末で取り間違いを防止梱包最適な箱や袋を選び、緩衝材で保護資材コストを抑えつつ破損リスク減伝票発行送り状を自動印刷して貼付け手書き不要でスピーディー同梱対応チラシ・クーポン・ノベルティを封入リピートや満足度アップに効果的発送宅配便・メール便・クール便などで出荷当日〜翌日発送で早く届く返品対応返送品を受け取り、再販可否を判断良品は再在庫、ムダを減らす EC物流センターは「預かる・出す・戻す」のすべてをプロの手で行うため、ショップ運営者は出荷の手間やミスの心配から解放されます。空いた時間と労力を、商品の企画やマーケティングなど“売ること”に集中できる、これが最大のメリットです。 ◾️EC物流センターのメリットとは? ネットショップを運営していると、商品が売れるのは嬉しいけれど、出荷や在庫管理の手間に追われてしまう…という悩みは多いですよね。そんなときに頼れる存在が EC物流センター です。では、どんな「良さ」や「助かるポイント」があるのでしょうか?順番に見ていきましょう。 1. 出荷作業の負担がグンと減る まず一番のメリットは、自分たちで発送業務をする必要がなくなることです。注文が入るたびに商品をピッキングして、梱包して、伝票を貼って、配送会社に渡す、これらすべてをセンターに任せることで、本来やるべき「商品企画」「サイト運営」「お客様対応」に集中できます。 特に注文が急に増えるセール期間やキャンペーン中でも、EC物流センターなら安定して対応してくれるので、作業がパンクする心配もありません。 2. ミスが減ってお客様からの信頼がアップ EC物流センターでは、バーコードやシステムを使った正確なピッキングと検品が行われます。スタッフが手作業で伝票を書いたり、商品を間違えたりすることが少ないため、「違う商品が届いた」「届くのが遅い」などのクレームが減り、リピート率の向上にもつながります。 また、丁寧な梱包や販促物の同梱によって、お客様に「きちんとしたお店」という印象を与えることもできます。 3. コストの見える化と最適化 倉庫を借りたり、人を雇ったりすると、固定費がかかりますが、EC物流センターは使った分だけ料金が発生する「従量課金制」が多く、無駄なコストを抑えられます。 「出荷数が少ない月は料金も少なく済む」「スペースを余分に借りなくていい」など、運営の負担を軽くする仕組みが整っています。また、自社でやるよりも物流のプロが効率的に動いてくれるので、人件費や資材費の削減にも効果的です。 ♦︎メリットまとめ表 メリット内容効果出荷作業の手間を削減梱包・伝票・出荷などを丸ごと外注本業に集中できる/人件費削減ミスが少なくなるWMSやバーコードによる検品クレーム減・信頼アップ配送が早くて正確注文後すぐに処理、最短で当日発送顧客満足度の向上費用の無駄がない月額固定ではなく従量制が多い出荷量に応じて柔軟にコスト調整可能ブランドイメージ強化丁寧な梱包や同梱サービス初回購入者の印象アップ/リピート促進 EC物流センターの最大の魅力は、“売る人”が売ることに集中できる環境をつくってくれることです。面倒な出荷作業や在庫管理をまかせられれば、事業のスピードも質もぐんと上がります。今後ネットショップを拡大していきたい方にとって、EC物流センターはまさに「一緒に成長してくれる頼れるパートナー」と言える存在です。 ◾️どんなEC事業者に向いてるの? EC物流センターは、すべてのネットショップに必要というわけではありません。でも、「もっと効率よく運営したい」「出荷ミスをなくしたい」「時間に追われていて困っている」という方にとっては、とても頼れる存在です。 ここでは、EC物流センターの利用がとくにおすすめなケースを紹介します。 1. 注文数が月間300件を超えてきた 最初は自宅や事務所で対応できていても、注文数が増えると作業が追いつかなくなります。とくに月間300件を超えるようになると、商品管理・梱包・発送が本業の時間を圧迫してしまうことが多いです。 そんなとき、EC物流センターに切り替えれば、毎日のルーティンを自動化できて、他の仕事に集中できるようになります。 2. 商品の種類(SKU)が多い アパレル、雑貨、コスメなど、色やサイズ違いが多い商材を扱っていると、在庫管理やピッキングでミスが起きやすくなります。EC物流センターでは、バーコード管理や棚番ごとの保管を行っているため、SKUが多くても正確に出荷できる環境が整っています。 3. 成長を見越して、早めに体制を整えたい 「まだ月100件だけど、半年後には2倍に増やしたい!」という事業者さんにもEC物流センターはおすすめです。最初からプロの仕組みを導入しておけば、成長期にバタつかずスムーズに売上を伸ばせます。倉庫移転やスタッフ追加などの手間もかからず、事業のスケーラビリティが確保できます。 ♦︎どんなショップに向いてる?簡単チェック表 状況説明EC物流センターが向いている理由月間出荷数が増えてきた1日10件以上の出荷がある毎日の作業負担を外注で解消商品の種類が多い色・サイズ・セット商品などバリエーション豊富SKUごとの在庫管理をシステム化少人数で運営している1~2人で運営している出荷にかかる時間を他の業務にまわせる今後の成長を見越したい新商品を増やして事業拡大したい拡張性のある仕組みを先に整備できる顧客対応を強化したい問い合わせやレビュー対応に集中したい物流を任せて本業に注力できる 「まだ自分の規模では早いかも?」と悩む方もいるかもしれませんが、“作業がつらくなってから”ではなく、“ラクに成長できるように”備えるのがコツです。 EC物流センターは、ただの外注ではなく、「あなたのネットショップをもっと強く、スムーズに動かす仕組みのひとつ」です。事業の未来を見据えて、タイミングを見て取り入れてみるのも、ひとつの選択肢です。 ◾️どう選べばいいの? 「EC物流センターにお願いしてみようかな」と思っても、実際に選ぶとなると「どこが良いの?」「何を基準にすればいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、失敗しないEC物流センターの選び方を、わかりやすくご紹介します。 1. 取扱い商品に対応しているか まず確認したいのは、自社の商品がその物流センターで問題なく取り扱えるかどうかです。たとえば「アパレル」や「食品」「雑貨」など、商品ジャンルによって保管方法や梱包の仕方は大きく異なります。 たとえば、冷蔵・冷凍対応が必要な食品を扱っているのに、常温倉庫しかなかった…という失敗例も。逆に、アパレルなど軽くて大量の商品なら、ピッキング効率や梱包の柔軟さが重視されます。 2. 連携できるECシステムがあるか 多くの物流センターでは、受注や在庫の情報を自動でやりとりする「WMS(倉庫管理システム)」を使っています。自社のネットショップと自動で連携できるかどうかは、日々の運用効率に大きく関わります。 たとえば、ShopifyやBASE、楽天、Amazonなど、自社が使っているカート・モールと連携できるか確認しておきましょう。 3. 出荷スピードと柔軟性 出荷スピードは、顧客満足に直結する大事なポイントです。当日出荷に対応しているか、締め時間はいつか、急ぎの注文にも対応できるかなどを見ておくと安心です。 また、「この商品だけノベルティを入れたい」「この期間だけ特別な封入をしたい」といった要望にどこまで応えてくれるかも重要な比較軸になります。 ♦︎比較ポイントまとめ(チェック表) 比較項目確認すべき内容理由商品の取り扱い自社商品に対応しているか(温度・形状など)商品破損やトラブルを防ぐシステム連携ECサイト・モールと自動連携できるか作業効率UP・ミス削減出荷スピード当日出荷、締切時間、土日対応など顧客満足に直結柔軟な対応力封入物、ギフト対応、キャンペーン対応特別な運用も任せられるコスト構成保管料、出荷手数料、初期費用などが明確か予算にあった運用が可能 EC物流センターは“倉庫”というより、“お客様との信頼を支えるパートナー”です。ただ安さや規模だけで選ぶのではなく、「自社の商品に合うか」「長く一緒に成長できそうか」という視点で見ていくことが、後悔しない選び方につながります。 また、いくつかの候補で迷ったときは、実際に問い合わせて話をしてみるのが一番です。説明のわかりやすさ、対応の早さ、こちらの悩みへの寄り添い方などを見れば、「ここに任せても大丈夫そうか」がだんだん見えてくるはずですよ。 まとめ:EC物流センターは“ネットショップの縁の下の力もち” ネットショップの運営では「商品を売ること」に注目が集まりがちですが、その裏側でどれだけスムーズに商品を届けられるかが、お客様の満足度やリピート率を大きく左右します。その重要な役割を担うのが「EC物流センター」です。 これまで見てきたように、EC物流センターは単なる“倉庫”ではありません。受注から出荷、返品対応や販促物の同梱まで、ショップ運営を裏から支える“フルフィルメントの現場”なのです。 とくに、ネット通販では1件1件の注文内容がバラバラで、スピードも求められるため、人の手だけではミスや遅延が起きやすいという現実があります。その課題を解決してくれるのが、自動連携された受注処理、小ロット多品種への対応力、当日〜翌日出荷のスピードなどを備えたEC物流センターの仕組みです。 また、センター選びにおいても「商品との相性」や「システムの使いやすさ」「急な依頼への柔軟さ」など、ポイントを押さえて比較することで、長く安心して任せられるパートナーと出会えるはずです。 ネットショップにおいて、「売る」ことと同じくらい大切なのが「届ける」こと。そして、その“届ける”を支えているのが、EC物流センターです。 これからネットショップを始める方も、今の運用を見直したい方も、この記事をきっかけに「物流」の視点でショップの成長を考えてみてください。EC物流センターは、まさに“縁の下の力もち”。 あなたのビジネスの可能性をもっと広げてくれる、心強い味方になってくれるはずです。 神谷商店が提供する、安心・柔軟・高品質なEC物流センターサービス 神谷商店では、ネットショップ運営に欠かせない「出荷」「在庫管理」「返品処理」などの物流業務を、一気通貫で丁寧にサポートします。ただの倉庫ではなく、“売る人”のパートナーとして並走するフルフィルメントサービスが、私たちの強みです。 ✔ 熟練スタッフによる高精度オペレーション ピッキングや検品、梱包まで、すべての作業を目の行き届いた体制で実施。WMS(倉庫管理システム)との連携で、ヒューマンエラーを最小限に抑えながら、スピード出荷を実現しています。 ✔ 小ロット多品種にも、柔軟に対応します アパレル・雑貨・コスメ・食品など、SKUが多い商品にも柔軟に対応。さらにセット組みやキャンペーン対応、同梱物の封入、熨斗・ギフト対応まで、ショップごとの要望に合わせて細やかにサポートします。 ✔ 柔軟性のある対応力で、“イレギュラー”も安心 「急ぎの出荷に対応してほしい」「特別な同梱物を入れたい」といった声にも、できる限り対応しています。現場と連携しながら、フレキシブルに対応できる体制が整っているからこそ、安心してお任せいただけます。 ✔ 成長を見越した長期的なパートナーに 少量出荷から始めて、数百〜数千件へ。そんなスケールアップにも柔軟に対応可能です。物流体制を整えておけば、売上アップにも自然とつながります。 「どう頼んだらいいか分からない」も、「急に注文が増えて困ってる」も、神谷商店なら、まるごと相談できます。 柔軟さ・スピード・正確さを兼ね備えたEC物流のプロとして、あなたのネットショップを“次のステージ”へ導きます。まずはお気軽にご相談ください! ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.06.12
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物流DX化ってなに?IT化とDXの違いも合わせて解説します
〜現場をラクにするヒントをやさしく解説〜 CONTENTS 物流DX化ってなに?カンタンに説明します 物流のどこがDX化できるの? DX化すると、どんないいことがあるの? 物流DXを進めるにはどうすればいい? 気をつけたいポイントは? 神谷商店が大事にしているDXのカタチ まとめ:DXで物流の仕事をもっとやさしく! ◾️物流DX化ってなに?カンタンに説明します 物流DX(ディーエックス)とは、「物流の仕事を、ITやデジタルの力で便利に・効率よく変えていくこと」です。 たとえば、今まで紙でやっていた在庫管理をパソコンでできるようにしたり、商品を自動で仕分ける機械を導入したりすることも「DX化」にあたります。むずかしく聞こえるかもしれませんが、実は身近な変化のことなんです。 最近では、「人手不足で困っている」「作業にムダが多い」「もっと早く・正確に出荷したい」といった悩みをもつ企業が多くなってきました。そこで注目されているのが、デジタル技術を使って物流を進化させる“DX(デジタルトランスフォーメーション)” という考え方です。 このあと、「そもそもDXってなに?」「どこに効果があるの?」「どうやって始めるの?」という疑問もやさしく解説していきますので、初めての方でも安心して読み進めてくださいね。 ◆そもそもDXってなに? 「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉、最近よく聞くけれど、意味がよくわからない…そんな方も多いと思います。 カンタンにいうと、「デジタル技術で“やり方そのもの”を変えること」 がDXです。たとえば、単に紙からパソコンに変えるのは「IT化」ですが、パソコンを使ってまったく新しい仕組みやルールを作るのが「DX」です。 物流業界に当てはめると、「在庫を手書き表で管理 → ITシステムで自動管理」はIT化。でも「在庫データをリアルタイムに共有して、販売から出荷までを自動連携する」など、業務全体のしくみを変えるのがDXです。 以下の表で、「IT化」と「DX」の違いをまとめてみました。 IT化とDXの違い(物流での例) 項目IT化(デジタル化)DX(デジタルトランスフォーメーション)目的作業を便利にするビジネスのやり方そのものを変える例紙の伝票をExcel管理に切り替える在庫・受注・出荷をシステム連携して自動化使う技術パソコン、表計算ソフト、バーコードなどクラウド、AI、IoT、WMSなど影響の範囲一部の作業・工程会社全体・業務の仕組みゴール作業スピードや正確さの向上コスト削減・人手不足解消・サービス向上など つまりDXは、「道具を変える」だけでなく、「働き方やしくみを根本から変えること」がポイントなんです。 ◆物流DX化で何が変わるの? 物流DX化を進めると、現場の作業や管理の仕方が「人の経験と勘」から「データと自動化」に変わっていきます。 これは単なる機械導入ではなく、「仕事のやり方」そのものが変わる大きな変革です。 たとえば、紙に書いていた在庫管理がタブレットでリアルタイムにできるようになったり、人が手で探していたピッキング作業が自動で最短ルート表示されるなど、「速い・正確・わかりやすい」現場になります。 では、具体的にどんなところが変わるのか、以下のようにまとめました。 ★物流DXで変わること一覧 項目従来のやり方DX化後の変化在庫管理手書き・表計算ソフトで更新クラウドでリアルタイムに自動更新作業手順の共有口頭指示・紙の手順書タブレットや動画マニュアルで誰でもすぐ理解可能出荷チェック目視確認・ダブルチェックスキャンで誤出荷ゼロ・アラート機能付き担当者依存ベテラン頼みの業務誰が作業しても同じ品質で出荷できるお客様対応電話・FAX中心の対応チャット・自動通知でスピードアップ ポイントまとめ 「感覚」や「経験」に頼っていた仕事が、誰でもできる「仕組み」になる 「見える化」で在庫・進捗・ミスを即確認できる 「正確で早い」作業ができて、クレーム・ミスも大幅に削減 ◾️物流のどこがDX化できるの? 物流DX化は、ただITツールを使うだけではありません。現場の流れや課題を見直して、「ムダなく・見える・スムーズ」な仕組みをつくることがポイントです。ここでは、特に効果が出やすい3つの領域について紹介します。 ◆倉庫の管理や在庫の見える化 在庫がどこにあるのか、いくつあるのかをすぐに把握できる状態にするのが「見える化」です。これができていないと、以下のようなことが起こりがちです。 課題よくあるトラブル在庫数の把握がアナログ売り切れの商品を誤って受注ロケーションが分かりづらい商品を探すのに時間がかかる担当者の経験に頼っている担当者がいないと対応できない そこで、WMS(倉庫管理システム)などを使って、商品ごとに「何が・どこに・いくつ」あるかをリアルタイムで管理すれば、誰でもすぐに状況を把握できます。棚卸作業もスピードアップし、誤出荷のリスクも減らせます。 ◆荷物のピッキングや仕分けの自動化 ピッキング(商品を集める作業)や仕分け作業には、人手と時間がかかります。ここに自動化機器やAIの導入が進んでいます。 自動化の例効果自動搬送ロボット(AGV)指定の場所に商品を自動で運ぶデジタルピッキングシステム取り出す商品をライトや画面で指示AI仕分けシステム商品を自動で送り先ごとに分ける これらを導入することで、作業ミスが減り、人手不足にも対応しやすくなります。繁忙期でも安定した出荷体制を保つことが可能になります。 ◆紙をなくして、スマホやパソコンで管理 今でも紙の出荷指示書や在庫表を使っている現場は多いですが、紙からデジタルへの移行は大きな効果を生みます。 従来のやり方DX化したやり方メリット紙の出荷指示書タブレットで出荷内容表示情報更新が即時でミスが減る手書きの伝票控えクラウドでデータ共有紛失・記入ミスの防止電話・口頭での連絡チャット・社内ツール活用情報の伝達が速く正確 ITツールを取り入れることで、事務作業の効率もグンと上がります。特に複数の現場がある会社では、情報の一元化が大きな強みになります。 このように、物流業務の中でも「見えない」「分かりにくい」「手作業が多い」工程を中心にDX化を進めることで、現場全体のスピード・正確さ・柔軟性がぐっと向上します。 ◾️DX化すると、どんないいことがあるの? 物流現場でDX化を進めると、単なる作業のIT化にとどまらず、仕事のやりやすさ・スピード・コストにまで良い影響を与えます。ここでは、主な3つのメリットをわかりやすく紹介します。 ◆人手が少なくてもまわせる 少子高齢化や人材不足が続く中、DX化は“限られた人員で効率よく働く”ための強力な武器になります。 項目内容自動ピッキング経験が浅いスタッフでもミスなく対応できる作業ガイドのデジタル化手順が明確で教育コストが削減できるデータによる管理作業進捗や在庫状況をリアルタイムで確認できる 誰でもすぐに作業ができる仕組みが整えば、属人的な体制から抜け出し、急な人員変更にも対応できる柔軟な現場になります。 ◆ミスが減って仕事がスムーズに 出荷ミス・在庫違い・伝票の間違いなどは、顧客の信頼にも関わる重要なポイント。DX化によって情報の一元化と自動化が進めば、こうしたミスも大きく減らせます。 従来の課題DX化による改善手書き伝票で数字ミス自動入力やバーコード管理でミスを防止担当者の記憶に頼った出荷デジタルチェックで誰でも正確に対応できる出荷後の確認が困難履歴や在庫状況をすぐに確認・修正できる これにより、作業のスピードも上がり、スタッフのストレスや再作業の手間も大きく軽減できます。 ◆ムダが減ってコストもカット DX化によって「余計な作業」「無駄な時間」「不要な資材」などを削減でき、物流コスト全体を見直すことができます。 コスト削減ポイント具体的な内容配送回数の最適化在庫状況の把握でまとめ出荷が可能梱包資材の節約自動計算により適切な梱包サイズを選定作業時間の短縮手順の見える化・デジタル化で時間のロスを回避 このように、“見えなかったムダ”が数字として見えるようになるのもDX化の大きな魅力。少ない資源で最大のパフォーマンスを出すことが可能になります。 この章では、DX化によって得られる“実際の効果”に焦点を当てました。現場の効率やミス削減、コスト見直しといった改善は、すべてが企業全体の強みにつながります。 ◾️物流DXを進めるにはどうすればいい? DX化はただシステムを導入するだけでは成功しません。大切なのは「自社に合ったやり方で、現場がきちんと使いこなせる仕組みを作ること」です。ここでは、無理なくスタートするための3ステップをご紹介します。 ◆まずは「困ってること」を整理しよう 最初にやるべきことは、「どこで困っているのか」「どこを変えたいのか」をはっきりさせることです。 チェックポイント例内容例ピッキングに時間がかかっている商品の場所が分かりにくく、探す時間が長い出荷ミスが多い注文と伝票の突合せが手作業になっている在庫が合わないことがある棚卸しが手書き・更新が遅れている こうした課題は、現場のスタッフが一番よく知っています。現場の声をヒアリングして、具体的な課題リストを作ることが出発点になります。 ◆みんなで話し合ってスタート DXは一部の人だけで進めても、現場全体に広がらなければ意味がありません。だからこそ、部門をまたいだ話し合いがとても大切です。 話し合うべきこと目的「どの業務を変えるか」目標を明確にし、導入範囲を絞る「誰が中心となって進めるか」リーダーを決めて情報の共有や進行管理を明確に「現場にどんな不安があるか」早い段階で声を拾い、不満や抵抗を減らす “みんなで決めて進める”姿勢が、現場に浸透するDXを実現するカギです。 ◆使いやすい道具やシステムを選ぶ DX化の失敗の多くは「難しすぎるツールを選んだ」ことが原因です。大切なのは、誰でも直感的に使える“シンプルな道具”を選ぶことです。 ツール選定のポイント解説スマホやタブレットで使えるか現場で操作しやすく、教育コストも下がる既存のシステムとつながるか二重入力が不要になり、作業がスムーズになるサポート体制があるか操作ミスやトラブル時にすぐ相談できる 「使いやすいかどうか」は、高機能かどうか以上に重要な判断基準です。 この章では、物流DXをスタートするための基本ステップをご紹介しました。ポイントは、「現場から始めること」と「みんなで進めること」。自社にあった一歩から始めることで、無理なくDX化を成功に導くことができます。 ◾️気をつけたいポイントは? 物流DXを進めることで多くのメリットが得られますが、導入時に注意しないと「思っていたより大変…」「効果が出ない…」ということにもなりかねません。ここでは、よくある失敗や落とし穴を避けるために意識すべきポイントを3つ紹介します。 ◆現場とシステムのズレに注意 便利なツールを入れたつもりでも、実際の現場に合っていないと逆に手間が増えてしまうことがあります。 よくあるズレの例影響倉庫の動線に合っていない操作画面移動が多くなって作業が非効率になる実情とかけ離れたルール設定作業者がルール通りに動けず混乱が生まれる ツールやルールは、“机上の理想”ではなく“現場でどう使われるか”を軸に考えることが重要です。導入前には、現場でのテスト運用や意見収集をしっかり行いましょう。 ◆お金も時間もかかるかも DXは「すぐに」「簡単に」できることではありません。導入するにはある程度の初期コストや教育時間が必要です。 費用・時間の内訳例内容例システムの導入費・月額利用料パッケージ費用やクラウド利用料社内教育やマニュアル作成の時間スタッフへの研修や操作マニュアル作成データの初期登録作業在庫情報・商品情報の登録や棚番の整理など 「最初のハードルは少し高め」ですが、長い目で見れば業務の効率化やコスト削減につながります。費用対効果を冷静に見て判断しましょう。 ◆スタッフみんなが使えるようにする DXの失敗でよくあるのが、「一部の人しか使えていない」「現場が混乱している」というケースです。 起きやすい問題解決のための工夫年齢層が高くITに不慣れな人が多いスマホ操作がカンタンなツールを選ぶ教えてくれる人が限られている操作ガイドや動画マニュアルを用意する使い方がバラバラでミスが出る業務フローをルール化し、全員に統一する 「誰でも使える」「みんなが同じ使い方ができる」ことを意識することで、現場の混乱を減らし、スムーズな運用が実現できます。 このように、DXを進める際は「導入前の準備」と「導入後の運用サポート」の両方が欠かせません。道具を入れて終わりではなく、「使い続けられる仕組みづくり」が本当の成功へのカギです。 ◾️神谷商店が大事にしているDXのカタチ 物流DXとひとことで言っても、現場によって課題や状況はさまざまです。私たち神谷商店は「現場の声を中心にしたDXこそ、意味のある変化を生む」と考えています。導入することが目的ではなく、「使いやすくて、続けられて、成果が出る」DXを目指しています。 ◆現場の声を大事にしたサポート 「難しくて結局誰も使っていない…」というDXでは意味がありません。 神谷商店では、現場スタッフが実際にどんな作業をしているか、どこで手間がかかっているかを一緒に確認した上で、システムや仕組みの改善提案を行っています。 神谷商店の取り組み内容ヒアリングの実施倉庫スタッフの作業内容・課題を丁寧に聞き取る試験導入で現場フィードバック確認小さな範囲で導入して使いやすさを検証現場改善×システム改善の両輪サポート作業動線やレイアウトの見直しも含めて提案 「現場が困らないDX」を進めるための伴走型サポートが、私たちのこだわりです。 ◆使う人がラクになる仕組みづくり 多機能なシステムより、簡単に使える仕組みが物流DXでは大切です。神谷商店では、現場のスタッフが“自分たちで使いこなせる”ことを最優先にさらに業務の属人化をなくせるよう以下のような工夫を取り入れています。 工夫しているポイント具体的な内容例直観操作ができるハンディターミナルの使用現場スタッフでも臨機応変に対応できる簡単操作可能な端末を使用各作業を階層分け!作業スキームを明確化!!作業を階層化しているので「今」「何の」「次の」作業をしているかわかりやすい基本は増減のみ!簡単講習で誰でもすぐ使える直観的システム押すボタンをシステムで色分けしているので初出勤スタッフでもすぐに使いこなせる!ミスをしてもシステムが反応!ピックミスや仕分けミス、類似商品の間違えなど起こしやすいミスもハンディターミナルとシステムが音で教えてくれる! 倉庫業の専門的知識がなくても誰でも使え、全員が「わかりやすく」「ミスゼロ」で作業できるようシステムでサポートを神谷商店では行っています。 このように神谷商店では、現場のリアルに寄り添いながら、「続けられるDX」を実現しています。新しい仕組みが“使いづらさ”を生まないように、一つひとつの工程を大切にサポートしていく姿勢が、私たちの強みです。 まとめ:DXで物流の仕事をもっとやさしく! 物流DX化は、「難しいことをする」のではなく、毎日の仕事をもっと“やさしく”するための工夫です。 たとえば―― 在庫の場所がすぐにわかる 出荷ミスが減って安心できる 紙の伝票がいらなくなって、入力も手間いらず そんな「ちょっとラクになること」が積み重なることで、現場の働き方も、会社全体の効率も、大きく変わっていきます。 そして、DX化は“ひとりではできない”取り組みです。現場の声を聞いて、チームで話し合いながら、一歩ずつ進めていくことが大切です。 神谷商店では、「まずは今の困りごとを整理する」ことから一緒にスタートし、「使いやすいDX」を現場と一緒に作り上げていきます。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.05.23
| 倉庫業
同梱とは!?物流の基本と活用法をわかりやすく紹介
CONTENTS 同梱ってなに?まずは意味をわかりやすく 同梱の使われ方と活用パターン 同梱をうまく活かすためのポイント これからの同梱はどうなる? まとめ:同梱を知って物流に活かそう ◾️同梱ってなに?まずは意味をわかりやすく ◆同梱の基本的な意味 「同梱(どうこん)」とは、複数の商品や資料などを1つの箱や袋にまとめて入れることを指します。 たとえば、通販で2つ以上の商品を注文したとき、それらが1つの箱にまとめて届くことがありますよね。これが「同梱」です。 物流現場では、発送コストを下げたり、作業の手間を省いたりするために、この同梱がよく使われます。また、納品書やチラシ、販促物などを商品と一緒に入れるケースも「同梱」にあたります。 つまり同梱とは、「まとめて送る工夫」であり、コスト削減や業務効率化のカギとも言える大切な作業なのです。 ◆「梱包」との違いって? 「同梱」とよく似た言葉に「梱包(こんぽう)」がありますが、この2つは意味が異なります。 「梱包」とは、商品を箱や袋に入れて保護したり、運びやすくしたりする作業全体を指します。一方で「同梱」は、複数のものを“まとめて”1つの梱包に入れる行為のことです。 つまり、「梱包」は商品の包装そのものであり、「同梱」はそれを一緒に入れる工夫に近い意味です。 たとえば、AとBという商品をそれぞれ別々に梱包して発送する場合は「梱包」ですが、それらを1つの箱にまとめて発送する場合は「同梱」となります。 このように、両者は似ているようで、物流現場では目的や工程が異なる作業として使い分けられています。 ◆どうして今、同梱が注目されているの? 近年、「同梱」は物流の現場でこれまで以上に注目されるようになっています。その背景には、物流コストの上昇や人手不足といった業界全体の課題があります。 たとえば、配送費の値上げや梱包資材の高騰により、企業はできるだけ効率よく出荷したいと考えています。そこで、複数の商品を1つにまとめて送る「同梱」は、送料の削減や資材の節約につながる有効な手段となります。 また、作業スタッフの負担を軽くするためにも、作業工程を減らせる「同梱」は役立ちます。さらに、環境への配慮としても、過剰な梱包を避け、廃棄物を減らす取り組みの一環として注目されています。 このように、「同梱」はコスト・人・環境すべての面で改善につながる方法として、今あらためて注目を集めているのです。 ◾️同梱の使われ方と活用パターン ◆どんな場面で使われているの? 同梱は、物流のさまざまな現場で日常的に使われています。特によく見られるのが、ネット通販やECサイトでの出荷作業です。1人の顧客が複数の商品を購入したとき、それらを1つの箱にまとめて発送するのが一般的です。 また、製造業や部品の供給現場でも同梱は欠かせません。たとえば、機械の部品や付属マニュアル、検査書類などを一緒に梱包して納品することで、受け取り側の作業もスムーズになります。 さらに、販促物の同梱も広く行われています。商品に合わせてチラシやカタログ、クーポンなどを同封することで、次回購入やサービス利用を促す仕掛けとして活用されています。 このように、同梱は「コスト削減」だけでなく、「効率化」や「顧客コミュニケーション」の面でも役立つ場面が多く、幅広い業種で活用されています。 活用シーン具体例メリット通販・ECサイト複数商品をまとめて発送して送料を削減配送コスト削減・資材節約製造・BtoB出荷部品・マニュアル・伝票をまとめて納品作業効率化・確認ミス防止販促物の同封チラシ・カタログ・サンプルなどを商品に同封リピート促進・顧客満足向上 ◆よくある同梱の具体例 同梱には、実際の業務や経営面において大きなメリットがあります。ここでは、代表的な3つの利点をご紹介します。 1. コスト削減 もっとも大きなメリットは、送料や梱包資材の削減です。複数の商品を1つの箱で送れば、個別に発送するよりも費用が抑えられます。特に配送コストが上昇している昨今では、大きな節約効果が期待できます。 2. 作業効率の向上 商品をまとめて梱包・出荷することで、作業時間や手間が短縮されます。ピッキングや検品、ラベル貼付といった工程をまとめて行えるため、スタッフの負担軽減にもつながります。 3. 顧客満足度の向上 1つの荷物で商品がすべて届けば、受け取る側もスムーズに確認できます。また、販促物を同梱することで、お客様に新たな提案や特典を届けることができ、リピートや購買意欲の向上も見込めます。 このように、同梱はただの出荷手法ではなく、物流コスト・現場効率・顧客対応をトータルで改善する手段として注目されているのです。 メリット具体内容コスト削減送料や梱包資材の節約により利益率が向上作業効率の向上梱包や出荷の作業が簡素化され、時間短縮に貢献顧客満足度の向上1回の受け取りで済む・販促物の活用で印象アップ ◾️同梱をうまく活かすためのポイント ◆業種ごとの工夫ポイント 同梱をうまく活かすには、業種や業態に応じた工夫が欠かせません。それぞれの現場で求められる対応が異なるため、自社に合った形での運用が重要です。 たとえば、アパレルや雑貨のECサイトでは、商品の形状や大きさがバラバラなことが多く、サイズや重さを考慮して無駄のない箱詰めをする工夫が求められます。また、同時購入が多いアイテムの組み合わせを分析し、あらかじめ同梱用に在庫を近くに配置するなど、現場の動線を最適化する取り組みも有効です。 一方、BtoBの製造業や部品供給の現場では、出荷ミスが業務全体に大きな影響を与えるため、正確な伝票管理や内容確認が特に重要になります。商品だけでなく、検査証明書や仕様書といった関連書類を確実に同梱する仕組みが必要です。 さらに、飲食や食品業界では、賞味期限や衛生面に配慮した梱包方法が求められます。同梱する商品の種類や数量によっては、温度管理や仕分け区分を徹底する工夫も不可欠です。 このように、同梱のやり方は業種によって変わりますが、どの業界でも「正確さ・効率・安全性」のバランスを取りながら運用することが成功のポイントです。 業種工夫ポイントアパレル・雑貨EC多様な商品サイズに対応した箱選定・在庫配置製造・BtoB出荷伝票・関連書類を確実に同梱する仕組みの整備飲食・食品温度・衛生管理に配慮した梱包分けと動線設計 ◆梱包材やスペースの使い方 同梱を効率よく行うためには、梱包材の選び方とスペースの使い方も重要なポイントです。単にまとめて詰めるだけではなく、「安全」「省スペース」「作業性」の3つをバランスよく考える必要があります。 まず、梱包材の選定は商品の形状や重さに合わせて行うことが大切です。たとえば、壊れやすい商品が含まれる場合は、緩衝材を適切に使い、他の商品と接触しないように仕切りを設ける工夫が必要です。一方で、丈夫な商品同士なら、最低限の包装で済ませることで資材費の削減にもつながります。 次に、箱のサイズや形の最適化も欠かせません。大きすぎる箱を使うと中で商品が動いて破損する恐れがあり、逆に小さすぎると無理な詰め込みで作業時間が増えたり、破損のリスクが高まったりします。商品の組み合わせごとに最適な箱サイズをパターン化しておくと、作業がスムーズになります。 また、倉庫内でのスペース活用も見逃せません。同梱作業を効率化するためには、同梱対象の商品や梱包資材をすぐ取り出せる位置に配置しておくことが大切です。出荷頻度の高い組み合わせを分析し、ピッキングや梱包のレイアウトを最適化することで、作業時間の短縮と人的ミスの削減が期待できます。 このように、梱包材やスペースの使い方ひとつで、同梱作業の効率と品質が大きく変わります。細かな工夫の積み重ねが、物流全体の最適化につながるのです。 ◆社内全体で支える「同梱の仕組み化」 同梱を一時的な作業改善で終わらせず、継続的に安定させていくためには「仕組み化」が不可欠です。現場の工夫だけに頼るのではなく、組織全体で「同梱が標準化された業務」になるよう体制を整える必要があります。 まず鍵となるのが、同梱ルールのマニュアル化と業務フローへの組み込みです。たとえば「同梱対象商品の条件」「同梱時の注意点」「優先順位の判断基準」などをあらかじめ定義し、現場だけでなく受注・出荷・管理部門とも共有しておくことで、属人的な対応を減らすことができます。 次に重要なのが、PDCAサイクルの導入です。同梱作業の効率やトラブル件数などを定期的に可視化し、改善案を出し合う体制が整えば、仕組みそのものが進化していきます。これは単なる「やり方の指示」ではなく、現場の声を反映しながらルールを磨いていく姿勢そのものです。 また、同梱に関わる社内データの活用も見逃せません。たとえば「同梱率(1出荷あたりの同梱件数)」や「クレーム発生率」「再梱包率」などの指標を使って、数字で現場の状態を把握することで、改善の方向性が明確になります。 このように、「同梱の仕組み化」は単なる現場の効率化ではなく、物流品質を組織的に底上げしていく経営戦略の一部として取り組むべきテーマなのです。 ◾️これからの同梱はどうなる? ◆環境への配慮との関係 近年、物流業界においても「環境への配慮」がますます重要視されるようになっています。その中で、同梱は環境負荷を減らす有効な手段として注目を集めています。 たとえば、複数の商品を1つにまとめて出荷すれば、使用する段ボールや緩衝材の量を減らすことができます。結果として、ゴミの排出量や資材コストを抑えるだけでなく、受け取る側にとっても「過剰包装ではない、エコな対応」という好印象を与えることができます。 また、配送トラックの積載効率が上がることで、走行回数の削減やCO₂排出の抑制にもつながります。企業全体として環境対策に取り組む中で、同梱は手軽に始められる「脱炭素物流」の第一歩と言えるでしょう。 さらに、近年では環境対応型の梱包資材(再生紙・再利用可能な素材など)と組み合わせることで、企業のサステナビリティ意識をPRする手段としても活用されています。環境配慮は、単なるコスト削減ではなく、企業ブランドの信頼性を高める要素にもなってきています。 このように、同梱は「効率化」や「コスト削減」だけでなく、環境にやさしい物流の実現にも貢献できる、大きな可能性を秘めた取り組みなのです。 ◆自動化やITでの効率化 これまで同梱は人の手によって行われることが多い作業でしたが、近年では自動化やITツールの導入によって、より効率的かつ正確に行えるようになってきています。 たとえば、WMS(倉庫管理システム)やOMS(受注管理システム)を使えば、どの商品をどのように同梱すべきかが事前に自動判別され、現場に正確な出荷指示を出すことが可能です。これにより、作業者の判断に頼らず、ミスを防ぎながらスピードアップも図れます。 また、ピッキングや梱包の現場では、ハンディ端末やタブレットを使った作業指示が一般化しており、リアルタイムでの在庫確認や同梱対応がスムーズになっています。最近では、AIが注文傾向を分析して同梱候補を提案する仕組みも登場しており、より高度な業務支援が可能になってきています。 さらに、自動梱包機の導入も進んでおり、サイズに合わせて箱を自動成形し、最適な形で梱包することで、資材のムダをなくしつつ作業の省人化が実現できます。 このように、同梱業務は従来の“手作業の工夫”から一歩進み、システムと機械による効率化の時代へと移行しつつあります。こうしたIT・自動化の活用は、労働力不足や人為的ミスへの対応としても今後ますます重要になっていくでしょう。 ★同梱で変わる会社の仕組み 〜神谷商店の同梱とは!?〜 神谷商店は、単なる“梱包代行”にとどまらず、お客様の物流業務をトータルで支える「同梱ソリューションのパートナー」として高い信頼を得ています。特に以下の点において、他社にはない強みを発揮しています。 1. 商品特性に合わせた最適な同梱設計 神谷商店は、大型重量物から小型製品まで対応できる多様な同梱ノウハウを有しています。段ボール、木枠、パレット梱包などを使い分け、製品の形状・材質・輸送方法に応じて最も安全で効率的な同梱方法を提案。また、商品同士の緩衝や破損リスクを最小限に抑えるレイアウト設計にもこだわり、品質を損なわない同梱を実現しています。 2. 保管から出荷まで一貫対応できる体制 同梱は「梱包だけ」で完結しません。神谷商店は、自社倉庫を活用して入庫・保管・ピッキング・同梱・出荷までを一貫して対応。これにより、たとえば「複数メーカーの商品を1つにまとめて出荷したい」といった組み合わせ同梱の要望にも柔軟に対応できる点が大きな強みです。在庫管理と連動した同梱作業も可能なため、管理負担の軽減やリードタイムの短縮にもつながります。 3. 輸出梱包にも対応した高水準の品質管理 輸出用同梱では、輸送中の衝撃や湿気・温度変化など、国内配送以上に多くのリスクが伴います。神谷商店では、パッキングリストや輸出仕様に基づいた同梱チェックを徹底し、トリプルチェック体制による検品・封入管理を実施。これにより、海外への出荷にも対応できる信頼性の高い同梱サービスを提供しています。 4. 高い柔軟性と提案力 急な出荷、特殊形状製品の同梱、販促物の封入など、お客様の現場では“イレギュラーな梱包ニーズ”がつきものです。神谷商店は、現場経験豊富なスタッフが状況を判断し、柔軟に対応できる体制を持っています。単なる「作業者」ではなく、「同梱方法の改善提案」や「資材コスト見直し」までサポートできる点は、長年の実績があるからこその強みです。 ★神谷商店の同梱は“信頼できる物流戦略の一部”★ 私たち神谷商店の同梱は、単に荷物をまとめる作業ではありません。お客様の商品が安全に、効率よく、そしてムダなく届けられるように、品質・作業効率・コスト・信頼性すべてのバランスを考え抜いて、最適な同梱設計を行っています。 私たちが大切にしているのは、「一つひとつの作業の積み重ねが、お客様のビジネスに貢献する」という意識です。梱包から出荷までを一貫して対応できる体制を整え、どんなご要望にも柔軟にお応えできるよう心がけています。 物流の現場で起きやすい“ちょっとした手間”や“細かな課題”にこそ、私たちの存在価値があると信じています。だからこそ、ただの作業代行ではなく、「同梱のことで困ったら神谷商店に相談すれば安心だ」と思っていただける存在でありたいと、日々現場で向き合っています。 まとめ:同梱を知って物流に活かそう ここまで、同梱の基本から具体的な使い方、業種ごとの工夫や最新の動向までを見てきました。 同梱とは、単に「まとめて送る」だけの作業ではありません。コスト削減・作業効率の向上・顧客満足の強化といった多くの効果をもたらす、物流における重要な工夫のひとつです。 特に近年では、環境対策や業務の自動化、ブランド戦略といった観点からも、その価値が再評価されています。同梱をどう設計し、現場やシステムにどう組み込むかによって、会社全体の物流品質やサービス力に大きな差が生まれます。これを機に、自社の同梱作業を見直してみることは、きっと新しい改善のきっかけになるはずです。小さな工夫が、大きな成果につながる。 そんな可能性を、同梱は秘めているのです。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.03.19
| 巨大倉庫
| 倉庫業
巨大倉庫とは?定義・背景・課題を徹底解説
EC市場の急成長に伴い、「巨大倉庫」の需要が急増しています。かつての倉庫は単なる保管施設でしたが、現在は流通加工・仕分け・自動化を備えた次世代型物流拠点へと進化。Amazonや楽天をはじめ、企業は物流の効率化を追求しています。 一方で、人手不足・物流コストの上昇・環境負荷といった課題も浮上。本記事では、巨大倉庫の定義・背景・賃貸の活用法・課題と対策を解説し、物流の未来を考察します。 CONTENTS 巨大倉庫とは 巨大倉庫の定義 巨大倉庫が増加した背景 巨大倉庫を賃貸するという考え 巨大倉庫の課題 巨大倉庫とは?まとめ ■巨大倉庫とは かつて倉庫は、単なる「保管」を目的とした施設であり、物資の一時的な置き場として機能していました。しかし、2000年代以降、物流の高度化とEC市場の急成長により、単なる保管機能だけでなく、流通加工・仕分け・梱包・出荷など、多様な業務を担う施設として進化を遂げました。 特に、EC市場の拡大がこの変化を加速させた要因の一つです。消費者の「翌日配送」や「時間指定配送」などの高度な物流ニーズに応えるため、大規模な物流拠点を設置する企業が増えています。Amazonや楽天市場、ZOZOTOWNといったEC大手は、自社物流の強化を目的として、ロボットを活用した自動化倉庫やAIを活用した倉庫管理システムを導入するなど、物流の効率化に注力しています。 この流れを受けて、日本国内では巨大倉庫の建設が急増しています。国土交通省の調査によると、平成21年以降、日本国内の倉庫棟数および倉庫の総床面積は継続的に増加しており、令和2年には前年比26.7%増の11,348千㎡に達しました。 (出典:国土交通省 倉庫統計) ◗倉庫の進化と今後の展望 かつての倉庫は、製造業や小売業が商品を一時的にストックする場として機能していましたが、現在の巨大倉庫は、物流センターとしての役割が非常に大きくなっています。物流拠点の統廃合が進み、一部の倉庫ではAIを活用した自動仕分けシステムや、無人搬送ロボット(AGV)を導入することで、物流の効率化と省人化が加速しています。 また、国土交通省の「倉庫統計季報」では、倉庫業法に基づく定期報告(入出庫高・保管残高等)のデータを公表しており、国内の倉庫業の現状と推移を把握する上で重要な指標となっています。 (出典:倉庫統計季報) ◗巨大倉庫の今後 EC市場の拡大が続く限り、巨大倉庫の需要は今後も拡大すると考えられます。しかし、同時に物流業界は「人材不足」「高騰する物流コスト」「環境負荷の低減」などの課題にも直面しており、今後はさらなる省人化・自動化の導入が不可欠となる見込みです。 倉庫の大型化が進む一方で、地域の人手不足や交通インフラの問題などが浮上しており、持続可能な物流の実現に向けた取り組みが求められています。企業は単に巨大倉庫を建設するだけでなく、環境負荷の少ない物流拠点の構築や、労働環境の整備にも注力していく必要があるでしょう。 ■巨大倉庫の定義 巨大倉庫とは、一般的に大規模な面積を持つ物流拠点を指します。近年、EC市場の急成長に伴い、より効率的な物流システムの構築が求められた結果、倉庫の大型化・高度化が進んでいます。 特に、倉庫単体の建設ではなく、物流設備と一体化した「大型物流倉庫」の建設が増加しており、高機能化が進んでいます。これにより、従来の単なる「保管庫」としての機能を超え、流通加工・仕分け・梱包・出荷といった業務を一括で行う、総合的な物流ハブの役割を担うようになりました。 また、倉庫の運用に関しては建築基準法に基づく規制があり、100㎡未満の倉庫は建築物として認められないため、倉庫運営を行う際には一定の基準を満たす必要がある点にも注意が必要です。 ◗代表的な巨大倉庫の事例 日本国内および海外の大手EC事業者・物流企業は、物流の効率化と省人化の推進を目的に、巨大倉庫の建設・運営を積極的に進めています。特に、AI・ロボティクスの導入や自動化技術の活用が進んでいる点が特徴です。 企業名倉庫名累計延床面積ZOZOTOWNZOZOBASE62.7万㎡Amazonフルフィルメントセンター(FC)145万㎡アスクルASKUL関東DC35万㎡ ◇ZOZOTOWN(ZOZOBASE) 千葉県・茨城県に複数の拠点を展開 自動化技術を導入し、省力化を推進 作業の標準化と人員コスト削減を実現 ◇アマゾン(フルフィルメントセンター) 全国25カ所以上に物流拠点を展開 ロボットとAIを活用した自動倉庫を導入 大規模な配送ネットワークを構築し、迅速な出荷を実現 ◇アスクル(ASKUL関東DC) 2025年稼働予定の最新倉庫 関東から東北エリアまで配送可能な物流拠点 ロングテール商品の効率的な管理と配送の最適化を実施 これらの企業は、巨大倉庫の高度な物流機能を活かしながら、省人化・自動化・環境負荷の低減を目指しています。今後も、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展とともに、さらに倉庫の大型化・効率化が進むと予測されます。 ■巨大倉庫が増加した背景 近年、巨大倉庫の建設が加速している背景には、EC市場の急成長や、物流の最適化を目的とした3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の普及が大きく影響しています。これにより、単なる「保管倉庫」ではなく、物流センターとしての機能を備えた大規模な施設の需要が高まっています。 ◗EC市場の成長と物流ニーズの変化 EC市場の急成長により、消費者の購買行動が変化し、それに伴い物流の効率化が求められるようになりました。 ▸物販系EC市場の拡大2019年に約10兆515億円だった物販系EC市場は、2020年には約12兆2,333億円に成長し、1年間で約2兆円以上の増加を記録しました。EC化率(全商取引に占めるECの割合)も年々上昇しており、今後も市場の拡大が見込まれています。 (出典:CommercePick) ▸多頻度小口配送の需要増加ECの拡大により、個人向け配送が増加し、「少量・多頻度の配送」が一般化しました。 これに対応するため、巨大倉庫を活用した効率的な物流網の整備が進んでいます。 ▸「ラストワンマイル配送」の重要性消費者の「即日配送」や「時間指定配送」といったニーズに応えるため、配送拠点の最適化が不可欠になっています。これにより、大都市圏近郊に大規模な物流拠点(巨大倉庫)が次々と建設されています。 ◗物流の最適化と3PLの普及 企業が物流業務を効率化するために、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)を活用する動きが加速しています。 物流業務の外部委託の増加物流業務を専門の物流企業に委託することで、物流コストを削減し、配送の最適化を図る企業が増加しています。例)メーカーや小売業者が、倉庫の保有をやめ、巨大倉庫を賃貸するケースが増えている。 統合型物流センターの需要増各企業が分散していた複数の倉庫を統合し、巨大倉庫に一元化することで、管理コストの削減・配送リードタイムの短縮を実現。 自動化技術の導入巨大倉庫では、AI・ロボット・自動仕分けシステムを活用し、人手不足の課題を解決しながら物流の効率化を進めている。 今後はさらに・・・ EC市場のさらなる拡大により、巨大倉庫の需要は今後も増加すると考えられる。 物流業界の人手不足問題に対応する為、自動化・省人化の導入が不可欠となる。 環境負荷の低減を目的とした、エネルギー効率の良い物流施設の開発が進む可能性が高い。 ■巨大倉庫を賃貸するという考え 巨大倉庫を自社で保有するのではなく、賃貸して運用する企業が増えています。 倉庫の建設には多額の初期投資が必要であり、土地の確保や管理コストの負担も大きくなります。そのため、賃貸型倉庫を活用することで、コストを抑えながら効率的な物流運営を実現できます。 巨大倉庫の賃貸形態には、「マルチテナント型倉庫」と「BTS(Build to Suit)型倉庫」の2つの主要な形式があります。 ◗マルチテナント型倉庫とBTS型倉庫の比較 倉庫タイプ特徴メリット適した企業マルチテナント型倉庫複数の企業が設備を共有する賃貸型倉庫- 初期投資を抑えられる- 契約期間が柔軟- 防災設備や共用施設が充実- 変動する物流量に対応したい企業- 期間限定で倉庫を利用したい企業BTS(Build To Suit)型倉庫企業ごとにオーダーメイドで設計される賃貸倉庫- 業務効率を最大化できる- 自社専用設計で最適な動線を確保- 長期的なコストメリットがある- 安定した物流拠点を持ちたい企業- 特定の設備やレイアウトが必要な企業 ●マルチテナント型倉庫 マルチテナント型倉庫とは、複数の企業が利用する賃貸型倉庫のことを指します。一般的に、物流事業者や不動産開発会社が倉庫を建設し、複数のテナント企業が設備を共有する形で利用します。 ▸主な特徴 コスト削減:設備投資や管理コストの負担が軽減される 利便性の向上:施設内に休憩スペースやコンビニを併設しているケースが多い 防災対策が整備:既存のスプリンクラーや非常用電源などを活用できる ▸マルチテナント型倉庫のメリット メリット 詳細柔軟な契約形態契約期間が比較的短く、事業規模の変化に応じて倉庫の拡大・縮小が可能立地の選択肢が広い主要な物流拠点の近くに建設されることが多く、配送効率が向上する設備の共有によるコスト削減大型エレベーター・垂直搬送機・高天井ラックなど、最新の物流設備を活用できる ▸導入事例 業界 活用例物流業界ECサイトを運営する企業が、出荷量に応じて倉庫スペースを調整小売業界在庫を管理するためにマルチテナント型倉庫を活用し、流通拠点の効率化を実施 ●BTS(Build To Suit)型倉庫 BTS型倉庫とは、企業の業務に合わせてオーダーメイドで設計・建設される賃貸倉庫です。入居企業の要望に基づいて立地や施設の仕様を決定し、物流ニーズに最適化された倉庫が提供されます。 ▸主な特徴 特徴 内容オーダーメイド設計業務内容に応じて倉庫のサイズ・搬送設備・動線などをカスタマイズ可能長期契約が一般的一定期間の使用が前提となるため、安定した物流拠点の確保が可能高機能設備の導入最新の自動倉庫システム・AIによる在庫管理が組み込まれることが多い ▸BTS型倉庫のメリット メリット 詳細業務効率の最大化自社の業務に特化した倉庫設計ができるため、作業効率が向上長期的なコストメリット初期投資を抑えながらも、自社専用設計の倉庫を利用できるブランド戦略に貢献自社専用の倉庫として、物流の一貫性を確保し、ブランド価値を向上できる ▸代表的なBTS倉庫 BTS倉庫の代表例として、LMT(ラージマルチテナント)があります。これは、巨大な倉庫を縦分割・フロア分割し、複数の企業が利用する高機能物流施設です。日本全国で、このようなBTS型の大型倉庫の供給が増えています。 まとめ 倉庫タイプ 特徴 メリット 適した企業マルチテナント型倉庫複数の企業が設備を共有する賃貸型倉庫- 初期投資を抑えられる - 契約期間が柔軟 - 防災設備や共用施設が充実- 変動する物流量に対応したい企業- 期間限定で倉庫を利用したい企業BTS(Build To Suit)型倉庫企業ごとにオーダーメイドで設計される賃貸倉庫- 業務効率を最大化できる - 自社専用設計で最適な動線を確保 - 長期的なコストメリットがある- 安定した物流拠点を持ちたい企業 - 特定の設備やレイアウトが必要な企業 今後も、物流の効率化とEC市場の拡大に伴い、賃貸型巨大倉庫の需要はさらに高まると考えられます。企業は、自社の物流戦略に応じて、最適な倉庫形態を選択することが重要です。 ■巨大倉庫の課題 巨大倉庫は物流の効率化を支える重要なインフラですが、一方で人材確保・作業効率・DX化の遅れといった課題も抱えています。これらの問題に適切に対応することで、持続可能な物流システムの構築が可能となります。 ◗巨大倉庫の主な課題と対応策 課題 問題点 対応策人材獲得競争- 巨大倉庫が集中するエリアでは、労働力の確保が困難- 物流業界全体で慢性的な人手不足が続いている- 倉庫の立地選定を最適化(人材が確保しやすい地域)- 労働環境の改善(福利厚生・給与水準の向上)- 自動化技術の導入による作業負担軽減移動時間の増加- 倉庫の規模が大きくなることで、作業スタッフの移動距離が長くなる- 非効率な動線設計により、作業時間が増加- AGV(無人搬送ロボット)や自動倉庫システムの導入- 作業効率を考慮したレイアウト設計(ピッキングエリアの最適化)物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性- 物流業界のDX化は進んでいるものの、未導入の倉庫も多い- 自動化システムの導入コストが高いため、中小企業では普及が進みにくい- AI・ロボティクスの導入(自動仕分け・無人ピッキングシステム)- データ活用による在庫最適化(倉庫管理システムの導入)- 補助金や助成金の活用でDX導入コストを軽減 ▸人材獲得競争 ◗問題点 巨大倉庫が物流ハブエリアに集中することで、周辺地域での人材獲得競争が激化しています。特に、労働力不足が深刻化している物流業界では、人員確保がますます困難になっています。 ◗対応策 対策 具体的な施策立地の最適化人口密集地に近いエリアへの倉庫建設、通勤アクセスの改善労働環境の改善高待遇・福利厚生の充実、シフト柔軟化による働きやすさ向上自動化技術の導入作業負担軽減のためのロボット活用(例:ピッキングロボット) ▸移動時間の増加 ◗問題点 倉庫の大規模化により、作業スタッフの移動距離が増加し、業務効率が低下するリスクがあります。特に、倉庫内のレイアウト設計が適切でない場合、無駄な移動が増えてしまうことが問題となります。 ◗対応策 対策 具体的な施策AGV(無人搬送ロボット)の活用商品の自動搬送により、作業員の移動を最小限に抑える動線最適化倉庫内のピッキングエリア・保管エリアの配置を見直し、最短距離で作業が完了する設計垂直搬送システム多層階の倉庫では、エレベーターや自動搬送機を導入し、効率的な移動を実現 ▸物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性 ◗問題点 現在、多くの倉庫では自動化技術が導入されつつありますが、物流DXの普及率は依然として低い状況です。特に、中小企業では導入コストの問題もあり、デジタル化が進みにくいという課題があります。 ◗対応策 対策 具体的な施策AI・ロボティクスの導入自動仕分け・無人ピッキングシステムを導入し、省人化を促進データ活用による最適化倉庫管理システム(WMS)の導入により、在庫管理をリアルタイムで最適化補助金や助成金の活用DX導入にかかるコストを軽減するため、政府支援を活用 巨大倉庫は、EC市場の拡大や物流の効率化により、今後ますます重要な存在となります。しかし、その一方で人手不足の深刻化、作業効率の低下、物流DXの遅れといった課題が顕在化しています。 これらの課題を解決するためには、自動化・省人化技術の導入、作業動線の最適化、デジタル技術を活用したDXの推進が不可欠です。また、政府の補助金や助成金を活用し、DX導入コストを抑えつつ、効率的な物流システムを構築する事も重要です。 今後の物流業界においては、巨大倉庫の役割がさらに拡大すると予想されますが、その持続可能性を確保するためには、これらの課題に対する適切な対策を講じることが不可欠です。 企業は、最新技術を積極的に取り入れながら、効率的かつ持続可能な物流オペレーションを構築することが求められるでしょう。 ■巨大倉庫のまとめ 巨大倉庫は、EC市場の成長や物流の高度化に伴い、従来の単なる保管施設から、流通加工・仕分け・梱包・出荷までを担う高度な物流拠点へと進化してきました。特に、消費者の「即日配送」や「時間指定配送」といったニーズに対応するため、大手EC企業を中心に、AIやロボティクスを活用した自動化倉庫の整備が進んでいます。 また、巨大倉庫の運営形態にはマルチテナント型倉庫とBTS型倉庫の2種類があり、それぞれの企業ニーズに応じた選択が求められます。賃貸型倉庫を利用することで初期投資を抑えつつ、柔軟に物流拠点を確保する企業が増えており、今後もその傾向は続くと考えられます。 しかし、巨大倉庫の拡大に伴い、以下のような課題も浮上しています。 人材獲得競争:物流業界全体の人手不足が深刻化し、労働力確保が困難 移動時間の増加:倉庫が大規模化することで、作業スタッフの移動時間が長くなり、業務効率が低下 物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れ:自動化システムの導入コストが高く、中小企業では普及が進みにくい これらの課題に対応するためには、AI・ロボティクスの導入、動線設計の最適化、倉庫管理システム(WMS)によるデータ活用などが必要です。また、政府の補助金や助成金を活用することで、DX導入のコスト負担を軽減することも有効な手段となるでしょう。 今後はEC市場のさらなる成長により、巨大倉庫の需要は今後も拡大すると考えられます。しかし、持続可能な物流運営を実現するためには、省人化・自動化技術の導入、環境負荷の低減、労働環境の改善が不可欠です。企業は、自社の物流戦略に適した倉庫形態を選択し、最新技術を活用しながら、効率的で持続可能な物流オペレーションを構築することが求められます。 巨大倉庫は、今後も物流の要として重要な役割を担い続けますが、その運営には 「 コスト ・ 人材 ・ 技術 」 といった多角的な視点からの戦略的なアプローチが必要です。 ◇参考記事(無料で閲覧可能) ・大型倉庫物流センターとは?その役割と機能についてわかりやすく解説! ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.03.18
| 倉庫業
2024年問題を経て、2025年の倉庫業界はどう変わるのか?(コラム記事)
2024年、物流業界は大きな転換点を迎えました。「2024年問題」として知られる労働時間規制の強化により、トラックドライバーの時間外労働が制限され、物流の効率低下やコスト上昇が懸念されています。この影響は運送業だけでなく、倉庫業界にも深刻な影響を及ぼすことが避けられません。 特に、荷待ち時間の増加・作業負担の増大・人手不足の深刻化など、倉庫運営における課題が顕在化しています。加えて、物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速や、自動化・省人化の推進が急務となる中で、倉庫業界はこれまでの運営スタイルを見直さざるを得ない状況にあります。 では、2024年問題を経て2025年の倉庫業界はどのように変化するのか?本記事では、2024年問題の影響を整理し、倉庫業界の今後の課題と展望について筆者目線で解説します。 CONTENTS ▸2024年問題とは? ▸2024年問題に取り組む上で倉庫事業者が受ける影響 ▸倉庫事業者ができる2024年問題の対策 ▸2025年倉庫業界の展望と課題 ▸2025年に向けた倉庫業界の課題と展望(まとめ) ■ 2024年問題とは?—物流業界の分岐点 2024年、物流業界は大きな転換点を迎える。それが、いわゆる「2024年問題」だ。 これは、運送ドライバーの時間外労働の上限を年間960時間に制限する法規制が施行されることで生じる様々な影響の総称である。 これまで、物流業界は低賃金・長時間労働に支えられた構造を維持してきた。しかし、労働環境の見直しとドライバーの負担軽減を目的としたこの規制により、次のような課題が浮かび上がる。 ●物流企業の売上・利益の減少—運送回数の制限が生じ、収益の縮小が懸念される。 ●必要な物資が届かなくなるリスク—輸送能力の低下が、サプライチェーン全体の遅 延を招く可能性がある。 ●ドライバーの収入減少—時間外労働の抑制により、現場の収入減が避けられない。 ●運賃の値上がり—供給量の減少により、運賃の上昇が予測される。 これまで業界を支えてきたドライバー不足の問題は、いよいよ深刻さを増していく。人手不足の中で規制が厳しくなることで、結果として物流の効率が低下し、輸送コストが跳ね上がる可能性がある。 これは単なる業界の問題にとどまらず、最終的には消費者の負担増として跳ね返ってくるだろう。 さらに、企業がこの規制に違反した場合、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という厳しいペナルティが科される。 この背景には、国が労働環境の是正に本腰を入れている姿勢がうかがえる。すでに人材不足に悩む物流業界にとって、法規制への適応は喫緊の課題であり、対応を誤れば事業存続すら危うくなる局面を迎えている。 「この規制が、物流の未来を変えるきっかけになるのか、それとも危機の引き金となるのか」 2024年問題は、今後の物流業界のあり方を根底から問う分岐点となると考える・・・ ■ 2024年問題に取り組む上で倉庫事業者が受ける影響—矛盾する現実との闘い 2024年問題は運送業界だけの問題ではない。 その波は、倉庫業界にも確実に押し寄せている。ドライバーの労働時間規制が強化されることで、物流全体の流れを変えざるを得ない状況が生まれる。その中で、倉庫業者にはどのような影響が及ぶのか。 ● 荷待ち問題の悪化と、苦情・勧告の増加 「荷待ち時間」は、長年にわたり物流業界の構造的課題として存在してきた。トラックが倉庫に到着しても、積み下ろし作業が進まず、長時間待機を余儀なくされる。これがドライバーの労働時間を圧迫し、長時間労働の一因となっている。 こうした状況を改善するため、国は「荷主勧告制度」を導入。 これは、運送事業者の法令違反に荷主が関与していると判断された場合、国土交通大臣が是正措置を求める制度だ。 違反が認められれば、企業名が公表されるリスクもある。 だが、ここで問題なのは倉庫事業者の立場だ。荷主と運送事業者の間に立つ倉庫事業者は、荷待ち問題の直接的な要因ではない場合もある。それにもかかわらず、「倉庫の対応が悪いせいで荷待ちが長引いた」と責任を押し付けられる可能性が高まる・・・ 具体的に、以下のような要因が荷待ち時間の長期化を招く。 ▸バース予約時間の調整不足(適切な時間配分ができていない) ▸非効率な庫内レイアウト(積み下ろし動線が整理されていない) ▸作業員不足(出荷・受け入れ対応の人手が足りない) ▸受入時間の伝達ミス(運送会社への情報共有が不十分) このような課題が改善されなければ、ドライバーからの苦情が相次ぎ、さらには国の勧告対象となる可能性もある。倉庫事業者は、自社の問題でない部分に対する責任を問われかねない厳しい立場に立たされることになる。 ● 倉庫作業員の負担増加と、人材確保の必要性 倉庫業界にはもう一つの大きな試練が待ち構えている。それが「荷役作業の分担」の変化だ。 これまで、トラックドライバーが自ら荷物を積み下ろすケースは珍しくなかった。 しかし、2024年問題を受けて、ドライバーの労働時間が厳格に管理されることとなり、本来倉庫作業員が担うべき荷役作業をドライバーが行うことは難しくなる。 その結果、倉庫側の作業負担が一気に増加する可能性が高い。 ▸作業負担の増大(今まで以上に手間と時間がかかる) ▸人手不足の加速(新たな作業員の確保が必要) ▸労働環境の改善が急務に(負担が増えれば離職リスクも高まる) 特に、中小規模の倉庫では人員の余裕がないため、追加の作業負担に対応する余地が少ない。それでも、現場の作業効率を維持しなければ、倉庫全体の運用に支障が出る。 倉庫事業者は今後、単に「作業員を増やす」だけでなく、業務の効率化を進めなければならない。デジタル技術を活用し、トラック予約システムや自動化技術の導入を加速させることが、企業存続のカギとなるだろう。 またこのような「2024年問題」は、倉庫業界にとっても試練の年となる。規制が進む中で、倉庫事業者は業務の効率化と労働環境の見直しを急がなければならない。果たして、現場はこの変化に適応できるのか ——業界の対応力が、今まさに問われているだろう—— ■ 倉庫事業者ができる2024年問題の対策—「待ったなし」の改革 2024年問題は、物流業界の働き方を大きく変えようとしている。倉庫業界においても、これまでの「現場頼み」のやり方を続けることはもはや難しくなってきた。今、倉庫事業者はどのような対策を講じるべきなのか。求められるのは、単なる対応策ではなく、抜本的な改革だ。 ◗運賃や配送方法の見直し—物流の「適正価格」は実現するのか? 物流倉庫は、多様な荷主と取引を行っているが、運賃の適正化は依然として難しい問題だ。国土交通省の調査によると、「適正な運賃を収受できている」と回答した運送事業者はわずか20%。これは、物流コストの適正化がまだまだ道半ばであることを示している。 さらに、再配達の削減も倉庫業界にとって重要な課題となる。例えば、宅配便ではポスト投函型の小型配送を強化することで、無駄な配送回数を削減できる。倉庫業界においても、出荷スケジュールの見直しや荷姿の最適化が求められるだろう。 ● 出荷作業の自動化—「人手不足」に頼らない仕組みづくり 2024年問題を機に、「人手を増やす」のではなく「作業そのものを減らす」方向へのシフトが加速している。その鍵となるのが、倉庫作業の自動化だ。 ◗期待されるメリット ▸生産性向上—作業効率が向上し、人的ミスも減少▸省人化・省力化—労働力不足の解消につながる▸ミス削減—人的作業に依存しないことで、精度が向上▸労働環境の改善—過酷な肉体労働の負担を軽減 特に、仕分けや出荷作業の自動化は、倉庫の稼働効率を向上させる要となる。 AGV(自動搬送ロボット)やAIを活用したピッキングシステムの導入が、業界の未来を左右するだろう。 ● 荷主勧告制度の周知徹底—「知らなかった」は通用しない 2024年問題と密接に関わるのが、「荷主勧告制度」だ。これは、運送事業者の法令違反に荷主が関与していた場合、国土交通大臣が勧告を行い、企業名が公表される可能性がある制度だ。 しかし、驚くべきことに、国土交通省の調査では、「荷主勧告制度の詳しい内容を知っている」と回答した運送事業者は20%、荷主はわずか3.2%に過ぎなかった。 この結果は、制度の存在が十分に認知されていないことを示している。倉庫事業者としても、取引先(荷主)に対して制度を周知し、違反のリスクを共有することが不可欠だ。 ● 荷待ち時間削減—「待たせる物流」からの脱却 荷待ち時間の削減は、2024年問題を乗り越えるための最優先課題のひとつだ。現場での待機時間を減らすためには、以下のような施策が有効とされている。 ▸トラック予約システムの導入—到着時刻を事前調整し、待機時間を最小限に▸納品スケジュールの最適化—ピーク時間の分散化で混雑を解消▸作業効率の向上—バースの回転率を上げ、処理能力を向上させる 「待機が当たり前」の物流から、「スムーズな受け入れ」ができる物流へ。 この転換を図らなければ、倉庫業界は2024年問題の影響をまともに受けることになるだろう。 ● 荷役作業の見直し—ドライバーの負担軽減は倉庫業の課題 ドライバーの労働時間規制により、倉庫作業員の負担が増加することは避けられない。そのため、倉庫事業者は「荷役作業の分担」を抜本的に見直す必要がある。 ▸専任作業員を配置し、ドライバーの作業負担を軽減▸パレット納品を導入し、作業時間を短縮▸積み下ろしの標準化を進め、作業の効率化を図る 倉庫作業員の負担が増加することは避けられないが、業務の効率化次第では大きなコスト増を回避できる可能性がある。 ● 2024年問題への理解促進—「業界全体での取り組み」がカギ 物流業界全体が変革期を迎える中、倉庫業界においても2024年問題の理解を深めることが不可欠だ。 国土交通省の調査では、 「2024年問題について十分に理解している」と回答した荷主は12%、小売業・飲食業に至っては0% という衝撃的な結果が出ている。 物流の最前線で働く倉庫事業者こそが、業界の変化を荷主や取引先に伝え、共通認識を持つ努力をしなければならない。 ● 輸送網の集約やモーダルシフトの推進—「持続可能な物流」へ向けて 物流業界の課題に対応するため、国は「物流総合効率化法」を施行し、輸送効率の改善を促している。その一環として、「モーダルシフト(鉄道や船舶を活用した輸送)」の推進が求められている。 ▸長距離輸送は鉄道・船舶へシフト—CO2排出削減とドライバー負担軽減▸輸送網の集約化—共同配送の推進による効率化 この動きに倉庫業界も対応する必要があり、物流拠点の見直しや新たな連携体制の構築が求められている。 ●「2024年問題」は物流業界のターニングポイント 2024年問題は、単なる法規制の問題ではない。これは、物流業界が旧来の仕組みから脱却し、持続可能な形に進化するための試練でもある。 倉庫事業者が取るべき対策は、単なる短期的な対応策ではなく、未来を見据えた戦略的な変革である。2024年問題を「危機」としてではなく、「改革のチャンス」として捉えられるか ◇筆者個人としては、一企業だけではできないことも倉庫業界・運送業界等が協力してこの局面に立ち向かっていくことで答えが出るのではないかと考えられる・・・ ■ 2025年倉庫業界の展望と課題—「変革」か、それとも「淘汰」か? 2024年問題を経た倉庫業界は、2025年に新たな局面を迎える。物流業界全体が変革を迫られる中、倉庫事業者にとっても「これまで通りの運営」では立ち行かなくなる時代が本格化するだろう。 2025年の倉庫業界を取り巻く環境は、以下の3つのテーマを軸に動いていくと筆者は考えている。 ●労働力不足のさらなる深刻化—「人が足りない」では済まされない 2024年問題の影響を受け、トラックドライバーの労働時間が制限されることで配送効率が下がり、物流全体の負担が倉庫にのしかかる。しかし、倉庫業界もまた人手不足に悩まされている。 特に、作業員の高齢化が進む中で、若手の確保が難しくなっているのが実情だ。 ▸採用難の継続—給与の低さや体力的負担の大きさがネックとなり、若手人材の定着が難しい▸外国人労働者への依存度の増加—一部の倉庫ではすでに外国人技能実習生が欠かせない戦力となっている▸職場環境の改善が必須—長時間労働を前提としない働き方改革が急務 単なる人材確保の問題ではなく、業務そのもののあり方を見直さなければ、労働力不足は解決しない。 ●自動化技術の導入加速—人の代わりを「機械」が担う時代へ 人手不足を補うための手段として、倉庫業界では「自動化技術」の導入が急速に進むと予測される。特に注目されるのは以下の技術だ。 ▸AGV(無人搬送車)の導入—倉庫内の荷物運搬を自動化し、作業員の負担を軽減▸AIピッキングシステム—ロボットアームが商品を自動で選別し、ピッキング作業を効率化▸自動倉庫システム—在庫管理と出荷作業を統合し、最適なオペレーションを実現 これらの技術が進化することで、倉庫業界は「人が動かす現場」から「機械と人が共存する現場」へと変貌していくだろう。 しかし、ここで重要なのは、すべての倉庫が一律に自動化を導入できるわけではないという点だ。 ▸中小企業はコストの壁に直面—初期投資が高額なため、導入に踏み切れない倉庫も多い▸デジタル人材の不足—自動化を進めたくても、機械を扱える人材がいない▸部分的な導入で様子見—一部の業務のみ自動化し、段階的に導入を進める企業も増える 2025年は、自動化が加速する企業とそうでない企業の格差が広がる年になる可能性が高いと考えられる・・・・・ ●物流コストの適正化—「価格競争からの脱却」は実現するのか? 昨今では小麦価格の高騰や令和の米騒動などが記憶に新しいがこういった生産者側の立場を小売業者は考えられておらず過度な価格競争により適正なコストが推し量れていなかった。 物流業界も同様で、過度な価格競争により、適正なコストを確保できない状況が続いてきた。しかし、2024年問題を機に、業界全体で「適正価格」の見直しが始まっている。 ▸運賃の値上げは避けられない—輸送量の減少に伴い、各社が運賃の引き上げを進める▸新たな収益モデルの模索—付加価値サービス(在庫管理、流通加工など)で収益を確保する動きが強まる とはいえ、すべての企業がすぐに価格を適正化できるわけではない。特に、価格交渉力の弱い中小倉庫業者にとっては、「適正価格の実現」は依然として大きな課題となる。 2025年、倉庫業界は「変革」か、それとも「淘汰」か? 2025年以降、倉庫業界は大きく二極化する可能性が高い。 ▸変革に成功する企業:自動化を進め、人手不足に対応し、適正価格を確保できる企業▸淘汰される企業:旧来のやり方から抜け出せず、人手不足とコスト増に対応できない企業 2024年問題は、単なる一過性の課題ではなく、倉庫業界の「新たなスタンダード」を生み出す起点となる。その変化に適応できるかどうかが、今後の倉庫業界の命運を分けることになるだろう。 「変化を恐れずに前進できるか、それとも現状維持に甘んじるか」—2025年の倉庫業界にとって、決断の時はもう来ているのかもしれない。 ■ 2025年に向けた倉庫業界の課題と展望—持続可能な物流へ(まとめ) 2024年問題を経て、倉庫業界は今、かつてないほどの変革を迫られている。 ドライバーの労働時間規制がもたらす影響は単なる運送の問題にとどまらず、倉庫内のオペレーションやコスト構造、業界全体の在り方を根底から問い直すものとなる。 労働力不足の深刻化、自動化の進展、物流コストの適正化という三大テーマは、今後の倉庫業界を左右する重要な要素となる。 特に、人材確保に苦しむ中小倉庫業者は、業務効率化やデジタル技術の活用を通じて競争力を維持する必要がある。 一方で、すべての企業が同じスピードで変革できるわけではない。自動化投資を進められる大手と、資金や人材の制約に直面する中小企業の間で格差が広がることも予測される。こうした状況下では、企業単独の努力だけでなく、業界全体での連携や行政の支援策が鍵を握る。 2025年以降、倉庫業界は「変革を果たす企業」と「従来の仕組みに固執する企業」との間で二極化が進む可能性が高い。 持続可能な物流システムを確立するためには、物流業界全体での協力体制を築き、共に成長するための取り組みを強化することが不可欠である。 筆者は倉庫業界がこれから迎えるのは、単なる「変化」ではなく、持続可能な物流の未来を形作るための重要な過渡期であると考えている。 2024年問題を一つの通過点とし、未来へ向けた戦略的な舵取りが求められているのかもしれない。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.03.11
| 倉庫業許可
| 倉庫業
倉庫業法とは?倉庫業を営むときに必要な許可や資格を解説
倉庫業を営むには、「倉庫業法」を理解し、適切な許可や登録を受けることが不可欠です。倉庫業とは、他者の物品を保管し、対価を得る事業であり、国土交通省の認可を受けることで正式に営業が可能となります。 しかし、営業倉庫として登録せずに倉庫業を行うと、1年以下の懲役または100万円以下の罰金といった罰則が科されるリスクも。さらに、営業倉庫には厳格な施設基準が定められており、倉庫管理主任者の配置や防火・防湿対策が求められます。 本記事では、倉庫業法の定義・必要な手続き・倉庫の種類・登録を怠った場合のリスクについて詳しく解説します。これから倉庫業を始める方や、倉庫を利用する企業にとっても、法令を遵守した適切な倉庫運営のポイントが分かる内容となっています。 CONTENTS・倉庫業法における倉庫業とは?そもそも倉庫とは?・倉庫業法に則って倉庫業を始める場合に必要なものは?・倉庫業法における倉庫の種類・倉庫業法における倉庫業の登録をしないとどうなる?・倉庫業法とは?のまとめ 1. 倉庫業法における倉庫業とは?そもそも倉庫とは? 倉庫業法における「倉庫業」とは、簡単に言えば「第三者の物品を倉庫に保管し、その対価(料金)を受け取る事業」です。国土交通省の「倉庫業法」によると、倉庫業は以下のように定義されています。 「倉庫業」とは、寄託を受けた物品の倉庫における保管(保護預りその他の他の営業に付随して行われる保管又は携帯品の一時預りその他の比較的短期間に限り行われる保管であって、保管する物品の種類、保管の態様、保管期間等からみて第六条第一項第四号の基準に適合する施設又は設備を有する倉庫において行うことが必要でないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)を行う営業をいう。 引用元:国土交通省「倉庫業法」 要するに、企業や個人が所有する倉庫に他者の荷物を保管し、その対価を得る業務が「倉庫業」と定義されるわけです。 ■倉庫業の具体的な例 例えば、以下のような業務が倉庫業に該当します。工業製品の原材料や部品をメーカーから預かり、一定期間保管する食品会社の冷凍食品を低温倉庫で保管する個人向けにトランクルームを提供し、荷物を預かる物流センターでEC商品の在庫を保管する倉庫とは何か? 倉庫業法では、倉庫とは「物品を保管するための施設」であり、以下のように定義されています。 「倉庫」とは、物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作を施した土地若しくは水面であって、物品の保管の用に供するものをいう。 引用元:国土交通省「倉庫業法」 つまり、倉庫とは一般的にイメージされる「四角い建物」だけでなく、特定の加工が施された土地や水面(例えば、水上倉庫)も含まれることになります。 ■倉庫業に該当しないケース 全ての保管業務が「倉庫業」に該当するわけではありません。例えば、以下のようなケースは倉庫業法の対象外です。 飲食店で食事中にお客様のバッグを預かるクリーニング店が預かった衣類を一定期間保管する短期間のイベントで荷物預かりサービスを提供する これらは倉庫業法の「営業倉庫」には該当しないため、特別な登録や許可は不要です。 2. 倉庫業法に則って倉庫業を始める場合に必要なものは? 倉庫業を始める場合、国土交通省の認可を受けた上で、地方運輸局に登録を行う必要があります。無許可で倉庫業を行うと、罰則の対象となるため、適切な手続きを踏まなければなりません。 ●倉庫業を始めるために必要な手続き 倉庫業を始めるためには、以下の手続きを行います。 ●国土交通省に申請 倉庫業を行うには、国土交通省へ「倉庫業登録申請書」を提出し、認可を受ける必 要があります。 ●地方運輸局への届出 認可後、事業を開始する地域の運輸局に対して登録の届出を行います。 ●倉庫寄託約款(そうこきたくやっかん)の提出 「倉庫寄託約款」とは、倉庫業者と荷主(荷物を預ける人)が取り交わす契約書のことです。具体的には以下の内容を含みます。 業務の内容入庫・出庫の手続き保管期間と保管条件損害保険の有無料金体系免責事項や賠償責任 など 倉庫業法では、倉庫ごとに厳格な基準が定められています。例えば「1類倉庫」として登録する場合、防火・防水・防湿などの基準を満たしている必要があります。 ●倉庫管理主任者の配置 倉庫業を営む場合、各倉庫にそれぞれ「倉庫管理主任者」を配置することが義務付けられています。主任者になるには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります。 倉庫管理の業務に3年以上従事2年以上、指導的立場での倉庫管理経験国土交通省が認定する倉庫管理に関する講習を修了 3. 倉庫業法における倉庫の種類 倉庫業法では、倉庫の種類を「営業倉庫」と「自家用倉庫」の2つに大別しています。それぞれの違いを理解することが、倉庫業を適切に運営する上で重要です。 ●営業倉庫とは? 営業倉庫とは、第三者の物品を有償で保管する倉庫を指し、倉庫業法の規制を受けます。例えば、メーカーや小売業者が自社製品を保管する倉庫ではなく、物流企業が倉庫業を営む場合の倉庫が営業倉庫に該当します。営業倉庫を運営するには、国土交通大臣の認可と地方運輸局への登録が必要です。また、保管する物品の種類によって、以下の8種類に分類されます。 ●営業倉庫の種類 ●倉庫の種類 ●特徴 ●保管対象物品 ●1類倉庫 ①最も設備基準が厳しく、多様な貨物を保管できる ②危険物・冷蔵品以外の一般貨物 ●2類倉庫 ①防火性能を有しない倉庫 ②肥料、でん粉、塩、セメントなど ●3類倉庫 ①防火・防水・防湿・遮熱性能が低い ②鉄材、陶磁器など ●野積み倉庫 ①屋外に荷物を野積みする ②土石、レンガなど ●水面倉庫 ①水上で物品を保管 ②原木 ●貯蔵倉庫 ①タンクやサイロを利用 ②穀物、液体物質 ●危険品倉庫 ①消防法に基づいた危険物専用倉庫 ②高圧ガス、アルコール、可燃性物質 ●冷蔵倉庫 ①低温管理が必要な倉庫 ②生鮮食品、冷凍食品 ●営業倉庫の基準 ①営業倉庫として登録するためには、以下の基準をクリアする必要があります。 ●耐火性・防水性・防湿性を確保 ①火災や水害による損傷を防ぐ設備が求められます。 ●防犯対策が施されていること ①倉庫内の盗難防止のため、施錠設備や監視カメラが必要です。 ●建築基準法・都市計画法の遵守 ①営業倉庫は住居地域には建設できず、都市計画法の定める用途地域に適合してい る必要があります。 ●運輸局への定期的な報告 ①営業倉庫は定期的に倉庫の運営状況を国に報告しなければなりません。 ●自家用倉庫とは? ①一方、自家用倉庫は、企業や個人が自社の荷物を保管するための倉庫であり、倉 庫業法の規制対象にはなりません。例えば、以下のような倉庫が該当します。 ●メーカーが製造した商品を一時的に保管する倉庫 ●農家が収穫した農作物を貯蔵する倉庫 ●個人が利用するガレージや物置 ①営業倉庫とは異なり、他者の荷物を預かることがないため、国土交通省の登録は 不要です。 4. 倉庫業法における倉庫業の登録をしないとどうなる? 倉庫業法では、営業倉庫を運営する際に国土交通大臣の登録が必須とされています。この登録を行わずに倉庫業を営んだ場合、法律違反となり、罰則が科せられます。 ●無許可営業の罰則 倉庫業法に違反し、無許可で倉庫業を営んだ場合、以下の罰則が適用されます。 ▶1年以下の懲役または100万円以下の罰金(またはその両方) 引用元:国土交通省「倉庫業法」 さらに、違法な倉庫業を続けると、営業停止命令や罰則の強化もあり得ます。 ●名義貸し・借りの禁止 倉庫業法では、他人に営業倉庫の登録を貸したり、借りたりする行為も違法とされています。これに違反した場合、無許可営業と同じく1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられるため、十分な注意が必要です。 5. 倉庫業法とは?のまとめ 倉庫業法は、営業倉庫の適正な運営を確保し、荷主企業の利益を守るための法律です。 特に以下の点を押さえておくことが重要となります。 倉庫業とは、他者の荷物を保管し、その対価を得る業務である営業倉庫は国土交通大臣の認可が必要であり、8種類に分類される無許可で営業倉庫を運営すると、懲役や罰金の対象となる自家用倉庫は倉庫業法の対象外であり、個人や企業が自社の荷物を保管するために使う 特に最近では、倉庫業の安全管理がより重要視される傾向にあります。2023年には、大手オフィス用品通販会社の物流センターで大規模な火災が発生し、倉庫業のリスク管理が改めて問われました。このような事態を避けるため、倉庫業を営む企業だけでなく、荷主企業も倉庫業法を理解し、適切な倉庫を選定することが求められます。 信頼できる倉庫業者を選ぶ際には、「営業倉庫の登録」を受けているかどうかを確認することが大切です。 また、単なる法的規制ではなく、荷主企業や消費者を守るための重要なルールです。倉庫業を始める際は必ず国土交通省の登録を行い、法令を遵守した適正な運営を行いましょう。 また、倉庫を利用する企業も、委託先の倉庫が適正な登録を受けているかどうかを確認し、違法な倉庫業者に荷物を預けないよう注意することが重要です。これから倉庫業を始める方や、倉庫を利用する企業の参考になれば幸いです。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2024.12.13
| 大型倉庫物流センター
| 大型倉庫
| 倉庫業
大型倉庫物流センターとは? その役割と機能についてわかりやすく解説!
EC市場の急進により物流のニーズが加速し、いたるところで大型の物流施設の開発ラッシュが続いています。 この物流施設は、大型倉庫物流センターや大型物流倉庫と呼ばれています。これらの大型倉庫物流センターと大型物流倉庫、実はそれぞれ役割や機能に違いがあります。 しかし最近では、物流センターの機能を一部担った物流倉庫も登場しているため、定義が曖昧になっている現状があります。 今回の記事では、それらの役割や機能の違いについて詳しく説明していきたいと思います。 CONTENTS ◗物流倉庫と大型倉庫物流センターの違いとは? ◗大型倉庫物流センターの種類と違い ◗大型倉庫物流センターの立地での役割の違い ◗大型倉庫物流センターまとめ ■物流倉庫と大型倉庫物流センターの違いとは? 物流倉庫とは、商品や製品、原材料などを一時的に保管する施設であり、企業の供給チェーンにおいて極めて重要な役割を果たしています。 この施設は、商品の品質を維持しながら適切に保管し、必要に応じて出荷準備を行うことで、スムーズな物流を支える基盤となっています。特に、製造業や小売業では、在庫管理や供給の安定性を確保するため、物流倉庫が欠かせません。 一方、大型倉庫物流センターは、物流倉庫とは異なり、単に商品の保管を行うだけでなく、出荷までのさまざまな作業を担う施設です。この施設では、商品仕分け、検品、ピッキング、梱包、配送手配など、多岐にわたる物流業務が行われます。これにより、出荷までの効率性が高まり、顧客への迅速な対応が可能になります。 これら二つの施設の大きな違いは、主にその目的と機能にあります。物流倉庫は、比較的シンプルな建物構造で、保管する商品に合わせた設備が整えられているのが特徴です。例えば、冷蔵・冷凍設備を備えた倉庫や、特殊な素材を保管するための防火設備が設置されることがあります。これらは、保管する商品の性質や取り扱い要件に応じてカスタマイズされています。 一方、大型倉庫物流センターは、規模や設計においてより高度な物流機能を備えています。 このような施設は、商品を効率的に取り扱うために自動仕分けシステムやベルトコンベア、さらには最新のロボット技術が導入されていることもあります。さらに大型トラックの出入りが頻繁に行われるため、施設自体が広大な敷地を持ち、大型車両がスムーズに移動・停車できるような設計が施されています。このように、入庫から梱包さらには出庫までの多岐にわたる物流作業を一つの施設内で完結させることで、全体の物流効率を大幅に向上させています。 両者はその機能や用途が異なるため、企業の物流戦略において、どちらの施設を活用するかは事業規模や取り扱う商品の種類、顧客ニーズに応じて慎重に判断されるべきです。 つまり、大型倉庫物流センターは「顧客へ商品を必要な時に必要な分だけ素早く届けるための拠点」としての施設といえます。 工場や生産者から出荷した商品は、顧客へ発送する前に大型倉庫物流センターを経由し、仕分、保管、包装、流通加工などを行い、顧客や消費者の手に渡ります。 大型倉庫物流センターを設置する目的は ①顧客のニーズに応える ②小売店などの作業負担の軽減 ③リードタイムの短縮 主にこの3つとなります。 ・大型倉庫物流センターで顧客のニーズに応える 工場や生産者が出荷する場合のほとんどが大ロットで、コンテナや段ボールに詰められています。しかし、小売店や一般消費者は、小ロットで取引したいと考えますから、そのニーズに応えられる仕分け場所が必要ですが、店舗や宅配便センターでこのような作業を行うのは難しいので、大型倉庫物流センターで個数単位に小分けして出荷をします。 ・大型倉庫物流センターで小売店などの作業負担の軽減 大型倉庫物流センターで小分けをすると、小売店の負担を軽減するメリットもあります。入荷後は店頭に並べるだけになるため、いち早く販売に繋げられます。 このように大型倉庫物流センターは、生産者から消費者に届くまでの過程をスムーズに行う役割があるといえます。 ・大型倉庫物流センターでリードタイムの短縮 また、工場と顧客の間の距離が長いと商品を短時間に効率よく届けることはできません。そのため、工場と顧客との間に商品を保管する場所を設け、注文が入るたびにそこから出荷できるようにすれば、リードタイムを短縮できます。 次に、大型倉庫物流センターの種類とその役割を説明します。 ■大型倉庫物流センターの種類と役割 大型倉庫物流センターは、それぞれの役割や仕組みの違いによって以下の7つに分類されます。 ・配送センター 配送センターは、簡単に言うとトラック輸送の拠点となる場所です。メーカーや卸売業者などが所有する物流施設のことで、エリア内の消費者の元へ商品を届けることを目的として各地に設置されています。保管された商品は、この配送センターで顧客やエリアなど目的別に仕分けされ、輸送されます。 ・FC(フルフィルメントセンター) 「フルフィルメント」とは、消費者がECサイトで商品を購入してから、商品が手元に届くまでの一連のプロセスのことです。つまり、ECサイトや通信販売などにおいて、在庫管理から発送までを担う大型倉庫物流センターのことを指します。 商品の受注管理や顧客データ管理、返品やクレーム対応まで一括して請け負っているFCもあります。 ・PDC(プロセスディストリビューションセンター) 「流通加工・在庫型センター」と呼ばれる物流センターです。施設内では商品の保管や流通加工、ピッキング、検品、梱包などが行われています。PDCでは生鮮食品の加工や精密機器の組み立てなど、高度な加工が行われているのが特徴的です。品質管理に必要不可欠な温度管理や防塵機能を有する装置などの設備や高度な加工技術を有した人材が求められます。 ・PC(プロセスセンター) PDCと同様に流通加工を行う物流センターですが、PDCのように商品の管理や保管を行わないのが大きな違いです。業務内容としては生鮮食品の加工や計量、パック詰め、ラベル貼りなどをメインとし、最終納品先となるコンビニやスーパーマーケットなどの要望に合わせて加工や梱包を行います。 ・DC(ディストリビューションセンター) 「在庫物流センター」とも言われ、在庫商品を保管することを前提とした物流センターを指します。仕入れ先から一括で商品を購入するので在庫を抱えるリスクはありますが、急な注文にも迅速に対応できるというのが特徴です。 ちなみにディストリビューションとは「直接顧客には販売せず代理店へ商材を卸す企業」のことです。 ・TC(トランスファーセンター) DCとは反対に、在庫を保管しない物流センターをTCと呼びます。「通過型物流センター」とも呼ばれ、商品はその場で開梱された後、積み替えあるいは仕分けされて、次の目的地や配送先に運ばれる仕組みです。在庫リスクがないのがメリットですが、商品の購入費用はDCよりも高額になるケースがあることや、納品までに時間がかかることなどがデメリットとして挙げられます。 ・デポ デポは「ストック・ポイント」とも呼ばれ、小規模な物流拠点のことをいいます。必要最低限の数だけ在庫を有し、配送に特化しているのが特徴です。母体となる物流センターの周辺に配置され、デポを経由して小売店や消費者などの元に商品を配送します。デポを配置することで、配送距離や配送時間を短縮することが可能になるのが大きなメリットです。 ■大型倉庫物流センターの立地での役割の違い 大型倉庫物流センターは、機能だけでなく立地によっても2つの種類に分類されます。 ・生産立地型 生産地から近いエリアに建てられた大型倉庫物流センターを「生産立地型」と言います。保管・出荷作業を行う場所を生産地や仕入れ先の近辺に配置することで配送コストが抑えられるのが特徴で、仕入れ先の数が配送先の数を上回っている場合、生鮮食品の加工をメインで行っている場合に有効です。主にアパレルメーカーや建築部材関連、農協などで採用されています。 ・消費立地型 生産立地型とは逆に、消費地や販売先の近辺に建てられた大型倉庫物流センターを「消費立地型」と呼びます。仕入れ先の数に比べて配送先の数が多い場合、配送までの時間に制限がある場合に効果的です。配送先までの距離を縮めることで配送にかかる時間が短縮されるため、生鮮食品をメインで扱う場合などは消費立地型が基本となります。 ■大型倉庫物流センター まとめ 今回は物流倉庫と大型倉庫物流センターの違いについて解説しました。 最近では、郊外の幹線道路沿いや高速道路のインターチェンジ近くで巨大な倉庫が林立している光景も見られ始めました。 また、都市部でも工場跡地などに大型倉庫物流センターの建設が増えています。 大型倉庫物流センターは物流倉庫より多機能に見えますが、それぞれ目的が異なります。大まかに言うと、大型倉庫物流センターは出荷に優れた倉庫と言え、物流倉庫は保管機能が優れていると言えます。 しかし、大型倉庫物流センターの方が多機能であるからといって、拠点全てを大型倉庫物流センターにすればいいという事でもありません。それぞれの機能や役割を理解した上で、拠点の状況に合わせてどちらが適しているかを判断し、的確に設置することが重要と言えます。 物流を見直す際は、物流センターの立地や用途などを物流会社と相談しながら、自社にとって最適な物流のあり方を検討してみると良いのではないでしょうか。 たとえば、大量の形状が定まった貨物や、Amazonや楽天のような大規模なEC事業では、取り扱う商品の数が何百、何千万個にも及ぶため、それらを保管するための広大なスペースが必要です。 このような事業では、巨大な倉庫や物流センターが適しており、高度な設備やシステムを活用することで効率的な物流管理を実現しています。 しかし、すべての事業者に巨大倉庫が最適というわけではありません。特に、小ロットの商品出荷を主とする事業者の場合、多機能な大型物流センターはその特性がオーバースペックになることがあります。これらの施設は高度な設備を備えているため、不要な機能にコストが上乗せされる可能性があります。その結果、コストパフォーマンスの面で自社のニーズに合わないケースも生じます。 このような場合、重要なのは自社に必要な物流機能を適切に提案し、柔軟に提供してくれる倉庫事業者を選定することです。自社の物流ニーズを正確に把握し、それに応じた施設やサービスを選ぶことで、効率的かつ無駄のない物流運営が可能になります。 そこで、株式会社神谷商店のような倉庫事業者を活用することが解決策の一つです。同社では、御社のニーズを詳細にヒアリングし、必要な機能を選別した上で、最適な物流ソリューションを提案します。特に、他の倉庫事業者が嫌煙する特殊な製品や、荷役の難しい貨物の取り扱いにも対応しており、高品質なサービスを提供します。 例えば、特殊な保管要件を持つ貨物を抱える事業者の方や、従来の倉庫サービスで満足できない方には、神谷商店が提供する柔軟かつ高品質なサービスがおすすめです。現在、初回相談や提案は無料で行っていますので、まずはお気軽にお問い合わせください。 さらに詳しい情報や事例については、以下の動画をご覧いただくと、具体的なイメージを掴むことができます。 【運送・荷役】トラックで船を輸送します大作戦 株式会社神谷商店は、御社の物流課題を解決するための信頼できるパートナーとして、全力でサポートいたします。お問合せはこちらからどうぞ! 倉庫業から創庫業へ! 株式会社神谷商店
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2024.12.12
| 3PL
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3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)とは?その意味や機能について詳しく解説
物流業界に属している方なら一度は耳にしたことがあるであろう言葉、「3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)」 ですが、一般にはあまり馴染みのない用語なので、「『3PL』とは何ぞや?」と思われるかも知れません。 今回の記事では、そもそも3PLとは何か、そして3PLの詳しい意味や機能、導入のメリットについて詳しく見ていきたいと思います。 CONTENTS ・そもそも3PLとは? ・3PLを導入するメリットとデメリット ・3PL事業者の選定ポイントは? ・3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)についてのまとめ ■そもそも3PL(サードパーティー ロジスティクイス)とは? 3PLとは、「サードパーティー ロジスティクス(Third Party Logistics)」の頭文字をとった略語でで、荷主企業に効率的な物流戦略を提案した上で、包括的に物流業務を受託し実行することを指します。 3PLは包括的な物流業務を行うので、倉庫での在庫管理や輸送などの業務だけでなく商品の受発注から入庫、ピッキング、配送など「物流に関わる全ての業務」が対象となります。 3PL以外の物流形態として、1PL(ファーストパーティーロジスティクス)、2PL(セカンドパーティー ロジスティクス)があります。1PLは荷主企業自身で物流機能を実行する物流形態、2PLは一部の物流業務を委託する物流形態があり、3PLは1990年代後半以降に広がった、新しい物流サービスの形態となります。 わかりやすくまとめると ・1PL(ファーストパーティーロジスティクス)…企業が自身ですべてのロジスティクス活動を行う ・2PL(セカンドパーティーロジスティクス)…物流業者へ一部を委託する ・3PL(サードパーティーロジスティクス)…物流コンサルを含めたすべてのロジスティック活動を物流業社へ委託する となります。 物流業務を行うためには、荷物を輸送するトラックなどの車両やドライバーをはじめ、荷物を保管する倉庫のほか、物流を管理する高度なシステムが必要になります。もしこれら全てを自社で用意・維持する場合、膨大なコストと手間がかかり、企業経営の負担にもなりかねません。 そのような問題を解決すべく、現在の物流業界で広く浸透しているのが「3PL(スリーピーエル 、サードパーティーロジスティクス)」です。 3PLが普及した背景については諸説ありますが、1990年頃に欧米で広がりはじめたと言われており、日本では1990年代後半に大きな注目を集めるようになりました。それまでは自社で物流業務を実行する、いわゆる「1PL」を行う企業も少なくありませんでしたが、倉庫の確保やトラックの管理、人員の確保などの膨大なコストがかかるため、企業にとっては大きな負担となっていました。さらに物流以外の業務もある企業は、物流業務の効率化や簡略化を図ることが大きな課題となっていました。そのような状況の中「物流業務を第三者に委託する」という選択肢が注目されるようになり、3PLが普及することとなりました。 3PLの普及による物流の効率化がCO2の削減効果や地域雇用創出の観点から、3PL人材育成推進事業の実施や物流拠点施設に対する税制特例等による支援を行うなど、国土交通省は3PL事業を総合的に推進しています。 3PL(サードパーティーロジスティクス)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行いさらにそれを包括的に受託し、実行することをいいます。荷主でもない、単なる運送事業者でもない、第三者として、アウトソーシング化の流れの中で物流部門を代行し、高度の物流サービスを提供しております。 国土交通省では、新たな物流サービスである3PL(サードパーティロジスティクス)の普及による物流効率化が地球温暖化問題への対応(CO2排出量の削減)、地域雇用の創出等の効果にかんがみ、3PL(サードパーティロジスティクス)人材育成推進事業の実施、ガイドライン等の策定、物流効率化法や物流拠点施設に対する税制特例等による支援により、3PL(サードパーティロジスティクス)事業を総合的に推進しているところです。 ※国土交通省HPより抜粋 ■3PLを導入するメリットとデメリット 繰り返しになりますが、3PLとは「荷主の物流業務を荷主や運輸会社以外の第三者が包括的に受託するサービス」です。 3PLには、主に2つのメリットがあります。 ●3PLのメリット ・固定費を変動費にできる 3PLにすることで、倉庫やトラック、人や物流システムといった固定資産を所有する必要がなくなり、必ずかかってくる固定費を変動費に替えることができます。 また3PL事業者の改善施策によって、保管費、荷役費、運送費といった物流コストの削減も可能です。 ・コアビジネスへ集中できる 今までロジスティクスに割いていた人材や資金などの経営資源をコアビジネスへと投入することができます。物流業務のための人材を確保する必要がなくなり、専門人材の育成が不要となります。 また、業務範囲が小さくなるためマネジメントの負担が減り、減った分の時間を別の業務へと充てることができます。 ・常に最新の物流モデルを享受できる 物流2024問題などいろいろな課題を抱えている物流問題に頭を悩ませているご担当者様も多いのではないでしょうか? 3PL(サードパーティ―ロジスティクス)を導入することでこの課題に対する専門チームを自社で抱えることなく常に新しい情報を受け取ること可能となります。 一方で、3PLのデメリットはどのようなものがあるのでしょうか? ●3PLのデメリット ・パートナー企業の固定化による弊害 3PL事業者は一般の物流倉庫と同じように、対応できる業務の得意・不得意があります。例えば海外での拠点の設置やサポート、サプライチェーンのネットワークの構築など、自社の課題を解決できるノウハウを持った会社に委託することが重要です。しかしながら3PL導入により逆にパートナー企業が固定化されてしまうケースもあり、パートナー企業が不得意な領域を含め、他の物流会社への発注が難しくなる可能性があります。 ・物流を担う人材の空洞化が起こる ロジスティクスに関する業務を外部に委託するため自社内にノウハウが蓄積されず、ロジスティクスを担う人材を社内で育成することが困難になります。仮に3PLを行う企業が倒産した場合などにはこのリスクが発生します。 ■3PL事業者の選定ポイントは? ここまで3PLのメリットとデメリットの両方を書いてきましたが、実際導入する場合どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 3PL事業者の選定は、自社が委託範囲や目的について明確なビジョンを描いたうえで選定しなければコストカットや業務改善が実現しないため注意が必要です。 具体的な3PL選定のポイントは以下の5つを意識してみてください。 ・料金よりサービスの品質を重視する 3PL事業者の選定にあたり、荷主は目先の料金などを重視しがちですが、ロジスティクスは一過性ではなく長期的に運用するものであるので良質なサービスを安定して提供することができる事業者を選ぶとよいでしょう。 ・リスクの回避能力やコンサルティング能力の高さを判断する 3PL事業者選定では、ロジスティクス活動をしていく中で起きる事故などのリスクを回避する能力や、継続的な業務改善案を提供してくれるコンサルティング能力の高い事業者を選ぶとよいでしょう。 余談ですが、近年「4PL(フォースパーソンロジスティクス)」と呼ばれる、「従来の3PLシステムにコンサル機能を付加したサービス」が生まれています。米国で提唱された新しい概念として国内でも導入が進んでおり、今後さらに普及していくと考えられています。 ・ICTの活用度に優れているか検討する 現在・将来を通じてICTはロジスティクスの品質の維持や向上に不可欠であるため、ICTが配車計画や在庫管理など現場のオペレーションに活用されている3PL事業者かを事前に知っておく必要があります。 ・アセット型とノンアセット型のチョイスが適切に出来ているか調べる 3PL事業者には自社で倉庫や輸送手段・物流拠点などを所有している「アセット型」と、自社では所有せず、荷主のニーズに応じて提携する物流・倉庫業者をアテンドする「ノンアセット型」が存在します。アセット型は需要が変わった時などの対応力などに強く、ノンアセット型は自社のアセットにとらわれることなく、荷主の要望に柔軟に対応することが出来ます。 国内の3PL事業者はアセット型が主流ですが、店舗や倉庫を持たないケースが多いEC事業者のような配送先が不特定多数である場合はノンアセット型が適している場合もあります。 ・3PL事業者の現場力があるか判断する 大手3PL事業者の場合、サプライチェーンの最後の配送(ラストワンマイル)を子請けや孫請けの業者が請け負っていることも多くなります。そのため3PL事業者だけの規模や実績以外にも、子請け・孫請け業者の現場力も調べる必要があります。 またノンアセット型の場合は完全に外注になるため、提携先の確認は必須であると言えます。 ■3PL(スリーピーエル・サードパーティー ロジスティクス)についてのまとめ 数多くのメリットを企業へもたらす3PL。導入する企業も増えていっています。大手企業も参入し、さらに発展していくことが予想されます。 実際コンサル機能を追加した「4PL」も生まれていて、今後はAI・自動運転といった「フィフス・パーティー」が関与する「5PL」へと進化していくことも考えられます。ですが、どれほど優れたロジスティクスが出てきてもサプライチェーンを維持・発展させるためにはどうしてもマンパワーが必要になります。 事業主や担当者は、どの3PL事業者のどのサービスが自社の業務効率化や労働環境改善に役立つのかを見極め、慎重に導入事業者を選定することが課題となります。 上記に挙げてきた3PL(サードパーティーロジスティクス)ですが、やはり大手物流倉庫になると柔軟性と流動性において動きにくくなることもあります。 昨今の状況を鑑みた中コンプライアンスの遵守はもちろんですが、少量や短期~中期のケースに なると大手物流倉庫ではなかなか契約が難しいこともあります。 そこで中小物流倉庫という選択肢も検討していただければと考えています。 例えば株式会社神谷商店では先に挙げた少量・短期~中期のお荷物もお受けさせていただいておりますし、荷扱いの難しい物に関しては弊社を含めた中小物流倉庫のほうが得意なこともあります。 そのため、価格、品質、効率を含め御社にあった物流倉庫を選択していただくことが必要と考えられます。 もし困りごとがある、内容がわからない等があればお気軽に株式会社神谷商店までお問合せください。(相談無料、提案無料) お客様のニーズにそったご提案を株式会社神谷商店からご提供させていただきます。 倉庫業から創庫業へ! 株式会社神谷商店
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2024.06.28
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次世代物流DXの未来とは? 物流倉庫が考えるデジタル技術による最適化戦略!!
物流業界は、技術の進化とともに大きな変革を日々遂げています。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、物流プロセスの効率化と最適化が急速に進んでいる昨今、物流業界はどのように進んでいくのでしょうか?この記事では、物流DXについて詳しく解説し、そのメリットや具体的な導入方法、成功事例について紹介します。 CONTENTS 1.物流DXとは? 2.物流DXの種類 3.物流DXのメリット 4.物流アウトソーシングの導入のポイントと成功事例 5.物流DXまとめ 1. 物流DXとは 物流DXは、デジタル技術を駆使して物流プロセスを革新する取り組みを指します。従来の紙ベースの管理や手動作業をデジタル化し、効率化、可視化、最適化を図ることで、物流の迅速化、コスト削減、精度向上を実現できます。物流アウトソーシングの活用も、物流DXの一環として重要な要素となります。 物流DX化の主な領域 ■物流DX化が可能な領域としては下記が挙げられます ・在庫管理:リアルタイムでの在庫情報の把握と管理 ・ピッキング:最適なルート指示と誤出荷の防止 ・入出庫管理:スムーズな入出庫プロセスとトレーサビリティの向上 ・配送管理:配送状況の追跡と効率的なルート設定 ・物流アウトソーシング:専門企業による物流業務の代行 2.物流DXの種類 デジタル技術は、物流業界において多岐にわたる革新をもたらしています。例えば、自動化システム、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ解析などが挙げられます。また、人がおこなうものとしてWMSとハンディ端末をAPI連携させ、入出庫や在庫管理を機械で行う事もこれにあたります。これらの技術は、物流プロセスの効率化と最適化を実現するための強力なツールとなります。 AIとIoTを利用した物流DXについて ・自動化システム:ロボティクスを活用した自動化倉庫や自動ピッキングシステム ・AI:需要予測や最適ルートの計算に活用 ・IoT:センサーを用いたリアルタイムの在庫管理とトラッキング ・ビッグデータ:物流データの分析による業務改善と予測 ■自動化システムの役割と機能 自動化システムは、物流DXにおいて重要な役割を果たします。例えば、ロボティクス技術を用いた自動ピッキングシステムや、自動倉庫管理システムなどが挙げられます。これにより、作業の効率化とミスの削減が図れます。 主な機能 ・自動ピッキング:ロボットによる正確かつ迅速なピッキング ・自動仕分け:商品の種類や配送先に応じた自動仕分け ・自動棚卸し:リアルタイムでの在庫情報の管理と更新 ■AIとIoTの連携 AIとIoTの連携により、物流プロセスはさらに効率化されます。AIを活用して需要予測を行い、IoTセンサーを用いて在庫状況をリアルタイムで把握することで、最適な在庫管理と配送計画が可能になります。 ▶連携の方法 ・需要予測:AIが過去のデータを基に需要を予測し、適切な在庫量を計算 ・センサー管理:IoTセンサーで在庫状況をリアルタイムに監視 ・最適化指示:AIが最適なピッキングルートや配送ルートを指示 ▶連携の効果 ・作業効率の向上:最適化された指示により、作業がスムーズに行われる ・ミスの減少:正確なデータに基づく作業で、誤出荷や在庫ミスが減少 ・リアルタイム管理:在庫情報がリアルタイムで更新され、正確な在庫把握が可能になる ・物流アウトソーシングの最適化:外部委託先との連携がスムーズになり、効率が向上 WMSとハンディ端末を利用した物流DXについて ■ WMS(倉庫管理システム)の概要 WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内の在庫をデジタルで一括管理することで、入出庫やピッキング、棚卸しなどの倉庫業務を効率化するシステムです。WMSの主な機能は以下の通りです。 主な機能 ・在庫管理:リアルタイムでの在庫情報の管理と更新 ・ピッキング管理:最適なピッキングルートの指示と誤出荷の防止 ・入出庫管理:スムーズな入出庫プロセスの実現と履歴管理 ・ロケーション管理:倉庫内の商品の保管場所の管理と最適化 ・レポート作成:在庫状況や入出庫状況のリアルタイムレポート ・物流アウトソーシング:外部委託先との連携による業務効率化 ■ハンディ端末の役割と機能 ハンディ端末(ハンドヘルド端末)は、バーコードやQRコードのスキャン、データ入力、情報確認などを行う携帯型のデバイスです。倉庫内での作業を効率化し、ミスを減らすために重要な役割を果たします。物流アウトソーシングの現場でも、ハンディ端末は幅広く活用されています。 主な機能 ・バーコードスキャン:商品のバーコードをスキャンして情報を取得 ・データ入力:数量やロケーションなどのデータを入力 ・情報確認:在庫情報やピッキングリストの確認 ・リアルタイム更新:WMSと連携し、リアルタイムでデータを更新 ・無線通信:作業者と事務所間でのリアルタイム通信が可能 ■WMSとハンディ端末の連携 WMSとハンディ端末を連携させることで、物流プロセスはさらに効率化されます。物流アウトソーシングのパートナーと連携する場合も、この技術が役立ちます。具体的な連携の方法とその効果について解説します。 ▶連携の方法 ・バーコードスキャン:ハンディ端末で商品のバーコードをスキャンし、WMSにデータ を送信する。 ・データ更新:スキャンした情報を基に、WMSが在庫情報をリアルタイムで更新する。 ・ピッキング指示:WMSが最適なピッキングルートを計算し、ハンディ端末に指示を送信する。 ・入出庫管理:入出庫作業時にハンディ端末で情報を入力し、WMSが履歴を管理する。 ▶連携の効果 ・作業効率の向上:ピッキングや入出庫作業がスムーズに行われ、時間短縮の実現が考えられる ・ミスの減少:バーコードスキャンによる正確なデータ入力で、誤出荷や在庫ミスが低減し人的要因によるミスの発生を減少効果が見込める ・リアルタイム管理:在庫情報がリアルタイムで更新され、正確な在庫把握が可能になる ・物流アウトソーシングの最適化:外部委託先との連携がスムーズになり、効率が向上さらに荷主側からも在庫の確認が可能となり正確な在庫状況の情報を得ることができる 3. 物流DXのメリット 物流DXを推進することで得られる具体的なメリットについて説明します。物流アウトソーシングの活用も、物流DXの推進に重要な役割を果たします。 ■業務効率の向上 ・標準化された作業手順:デジタル技術による統一された指示で作業を効率化 ・最適化された作業ルート:最適なルート指示で無駄な動きを削減 ・物流アウトソーシングによる効率化:専門企業のノウハウや設備を活用することで、業 務効率UP ■コスト改善 ・在庫コストの改善:在庫の適正化により、過剰在庫や在庫切れのリスクを低減 ・作業コストの改善:作業効率の向上により省人化が進み、人件費や作業時間を改善が考えられる ・物流アウトソーシングによるコスト改善:外部委託により固定費を変動費化し、コスト改善を実現が考えられる ■精度向上 ・誤出荷の防止:正確なデータ入力で誤出荷を防止 ・トレーサビリティの向上:入出庫履歴の管理により商品の追跡が容易に ・物流アウトソーシングによる精度向上:専門業者のプロフェッショナルなサービスで精度が向上 ■顧客満足度の向上 ・迅速な出荷:正確で迅速な出荷により顧客のニーズに迅速に対応 ・在庫情報の共有:正確な在庫情報を提供し、顧客の信頼度が向上 ・物流アウトソーシングによるサービス向上:専門業者のノウハウと経験を活用し、サービスレベルが向上 4. 物流アウトソーシングの導入のポイントと成功事例 物流アウトソーシングを導入する際のポイントと、実際の成功事例について紹介します。物流DXと併せて、物流アウトソーシングを活用することで、さらなる効果が期待できます。 ■導入のポイント ・現状分析:現行の物流プロセスを詳細に分析し、課題を洗い出す ・適切なシステム選定:O社の物流ニーズに合わせ今回はWMSとハンディ端末を選定 ・段階的導入:全てのプロセスを一度に変えるのではなく、段階的に導入していくことで 業務をおこないながら導入することができる ・物流アウトソーシングのパートナー選定:信頼できるアウトソーシングパートナーを選定し、協力関係を構築することで、柔軟的かつ流動的に業務改善を行うことができるものと考える 成功事例:O社の物流アウトソーシング導入事例 ■企業背景 O社は全国に多数の店舗を展開する小売業者で、膨大な商品を効率的に管理する必要がありました。しかし、急速に成長する中で、従来の紙媒体による在庫管理と配送システムが限界に達し、頻繁に在庫切れや誤出荷が発生していました。これにより顧客満足度が低下し、コストも増大していました。 ■課題 ・膨大な在庫の管理が煩雑で手作業によるミスが多発 ・誤出荷や在庫切れが頻発し、顧客満足度の低下 ・効率的な配送ルートの設定ができず、配送コストが増大 ■導入プロセス 1.現状分析:当社はまず、O社様の物流プロセスを詳細に分析し、手動作業による非効率性とミスの原因を特定 2.適切なシステム選定: 当社はO社様に当社物流アウトソーシングで一括管理のご提案を行い当社のWMS(倉庫管理システム)と適切な入出庫管理のためにハンディ端末の導入することを決定 3.従業員の教育: ハンディ端末導入に伴い、当社従業員への教育とトレーニングを実施し、ハンディ端末の操作方法と機械化の利点を理解 4.段階的導入: 全てのプロセスを一度に変えるのではなく、まずは一部の製品から新システムでの管理を行い、成功を確認しながら段階的に他の製品にも拡大し最終的にすべての製品の委託の完了 5.物流アウトソーシングのパートナー選定: 信頼できる物流アウトソーシングパートナーとして、当社を選定していただき、入出庫、保管と配送業務をすべて委託していただいた ■成果 1.業務効率の向上:新しいシステムにより、在庫管理とピッキング作業が効率化され、ミスが大幅に減少しました。また、最適化された配送ルートにより、配送時間が短縮されました。 2.コスト改善:物流アウトソーシングでの一括委託により、専門家の経験やノウハウで生産性が向上、さらに固定費が変動費化し、全体的なコストが改善されました。 3.顧客満足度の向上:誤出荷が減少し、迅速な配送が可能となったことで、顧客からの信頼が回復し、顧客満足度が向上しました。 5. 物流DXまとめ 物流DXは、デジタル技術の連携により、倉庫業務の効率化と精度向上を実現します。これにより、業務コストの削減、顧客満足度の向上といった多くのメリットが得られます。物流アウトソーシングを併用することで、さらに効率的かつ柔軟な物流プロセスを構築することが可能です。導入にあたっては、現状の課題を詳細に分析し、適切な技術を選定することが重要です。段階的な導入と従業員の教育を通じて、成功事例に学びながら物流DXを推進していきましょう。
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