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2025.07.16
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EC物流センターってなに?わかりやすく説明します
CONTENTS ・そもそも物流センターって? ・どんな仕事をしてくれるの? ・EC物流センターのメリットとは? ・どんなEC事業者に向いてるの? ・どんなメリットがあるの? ・どう選べばいいの? ・まとめ:EC物流センターは“ネットショップの縁の下の力もち” ・神谷商店が提供する、安心・柔軟・高品質なEC物流センターサービス ◾️そもそも物流センターって? 物流センターは、メーカーや仕入れ先から届く大量の商品を「ひとまず預かり、必要なときに正しい数量を出荷する“中継地点”」です。スーパーマーケットの裏側や大手通販会社の出荷拠点を思い浮かべるとわかりやすいでしょう。店舗やお客様へ届ける前に商品をまとめて置き、注文が入ったらピッキングして箱に詰め、配送業者へ渡します。要は「商品をストックし、正しいタイミングで送り出す」ことが物流センターの役割です。 ♦︎EC物流センターってどんなところ? ネット通販(EC)では、1件1個の注文や、同じ日に何十件も入る注文など動きが細かく速いのが特徴です。普通の物流センターよりも「スピード・正確さ・小ロット対応」が求められるため、EC物流センターには次のような専用の仕組みが整っています。 ポイントしくみうれしい効果注文データが自動で入るネットショップとシステム連携し、注文が入ると即座に倉庫へ通知手入力が不要になり、入力ミスが大幅に減る小さな注文にも強い1件1点でも、複数点でもバーコードやライト表示で正確にピック出荷ミスが少なく、作業スピードが速い当日〜翌日発送梱包資材選びと送り状発行を自動化し、締め切り時間までに迅速出荷早く届くのでお客様の満足度が上がる ネット通販では“少量多品種”の注文が日々発生するため、このような仕組みが欠かせません。 ♦︎倉庫とのちがいは? ふつうの倉庫は「商品を長期間保管する場所」ですが、EC物流センターは注文受付から梱包・発送、さらには返品対応までを担うワンストップ拠点です。 比較項目一般的な倉庫EC物流センター商品の管理長期保管がメインすぐ出荷できる短期保管が中心出荷先小売店・工場など法人ネットで買った個人のお客様サービス範囲保管と仕分けが中心梱包・同梱チラシ・ギフト包装・返品処理まで対応システム連携手作業やエクセル管理が多いネットショップとAPI連携して在庫と受注をリアルタイム同期 このように、EC物流センターはただの倉庫ではなく、ネットショップの裏側を支える“縁の下の力もち”です。お店とお客様をミスなくスムーズにつなげることで、ショップ運営者は商品の企画やマーケティングに集中できるようになります。 ◾️どんな仕事をしてくれるの? ネットショップで「注文ボタン」が押されたあと、商品が届くまでの裏側では,実はたくさんの工程が動いています。EC物流センターはそのすべてをまとめて請け負ってくれる “発送のプロ集団”。ここでは、どんな仕事をしているのかを順を追って紹介します。 1. 注文前──商品が届いたらまずやること 仕入れ先やメーカーから商品が届くと、センターのスタッフは数やキズを確認し、バーコードを読み取ってシステムに登録します。この「入庫」と「検品」をきっちりやることで、在庫ズレやクレームの芽を早い段階でつぶせるんですね。 2. 注文が入ったら──取り出しから梱包まで 注文データはネットショップと連携しているので、自動で倉庫システムに届きます。スタッフはハンディ端末を見ながら棚へ向かい、正しい商品をピッキング。そのままサイズに合った箱に詰め、緩衝材で保護し、送り状をプリンターで発行して貼り付けます。ここまでがワンストップ。スピードが命です。 3. 出荷のあと──返品や同梱もおまかせ 希望があればチラシやクーポンを一緒に入れたり、ギフト包装や熨斗(のし)にも対応。万が一の返品はセンターが受け取り、再販できるかを判断して在庫へ戻します。 ♦︎仕事の流れ 仕事内容具体的に何をする?ポイント入庫商品を受け取って数量・外装をチェックし、システム登録最初に間違いを防いで在庫ズレを回避検品キズ・汚れ・型番違いを確認、バーコードで照合不良品を早めに見つけてクレーム減保管サイズ・温度に合う棚やパレットへ収納、ロケーションを管理「どこに何があるか」がすぐ分かるピッキング注文内容に合わせて商品を取り出すハンディ端末で取り間違いを防止梱包最適な箱や袋を選び、緩衝材で保護資材コストを抑えつつ破損リスク減伝票発行送り状を自動印刷して貼付け手書き不要でスピーディー同梱対応チラシ・クーポン・ノベルティを封入リピートや満足度アップに効果的発送宅配便・メール便・クール便などで出荷当日〜翌日発送で早く届く返品対応返送品を受け取り、再販可否を判断良品は再在庫、ムダを減らす EC物流センターは「預かる・出す・戻す」のすべてをプロの手で行うため、ショップ運営者は出荷の手間やミスの心配から解放されます。空いた時間と労力を、商品の企画やマーケティングなど“売ること”に集中できる、これが最大のメリットです。 ◾️EC物流センターのメリットとは? ネットショップを運営していると、商品が売れるのは嬉しいけれど、出荷や在庫管理の手間に追われてしまう…という悩みは多いですよね。そんなときに頼れる存在が EC物流センター です。では、どんな「良さ」や「助かるポイント」があるのでしょうか?順番に見ていきましょう。 1. 出荷作業の負担がグンと減る まず一番のメリットは、自分たちで発送業務をする必要がなくなることです。注文が入るたびに商品をピッキングして、梱包して、伝票を貼って、配送会社に渡す、これらすべてをセンターに任せることで、本来やるべき「商品企画」「サイト運営」「お客様対応」に集中できます。 特に注文が急に増えるセール期間やキャンペーン中でも、EC物流センターなら安定して対応してくれるので、作業がパンクする心配もありません。 2. ミスが減ってお客様からの信頼がアップ EC物流センターでは、バーコードやシステムを使った正確なピッキングと検品が行われます。スタッフが手作業で伝票を書いたり、商品を間違えたりすることが少ないため、「違う商品が届いた」「届くのが遅い」などのクレームが減り、リピート率の向上にもつながります。 また、丁寧な梱包や販促物の同梱によって、お客様に「きちんとしたお店」という印象を与えることもできます。 3. コストの見える化と最適化 倉庫を借りたり、人を雇ったりすると、固定費がかかりますが、EC物流センターは使った分だけ料金が発生する「従量課金制」が多く、無駄なコストを抑えられます。 「出荷数が少ない月は料金も少なく済む」「スペースを余分に借りなくていい」など、運営の負担を軽くする仕組みが整っています。また、自社でやるよりも物流のプロが効率的に動いてくれるので、人件費や資材費の削減にも効果的です。 ♦︎メリットまとめ表 メリット内容効果出荷作業の手間を削減梱包・伝票・出荷などを丸ごと外注本業に集中できる/人件費削減ミスが少なくなるWMSやバーコードによる検品クレーム減・信頼アップ配送が早くて正確注文後すぐに処理、最短で当日発送顧客満足度の向上費用の無駄がない月額固定ではなく従量制が多い出荷量に応じて柔軟にコスト調整可能ブランドイメージ強化丁寧な梱包や同梱サービス初回購入者の印象アップ/リピート促進 EC物流センターの最大の魅力は、“売る人”が売ることに集中できる環境をつくってくれることです。面倒な出荷作業や在庫管理をまかせられれば、事業のスピードも質もぐんと上がります。今後ネットショップを拡大していきたい方にとって、EC物流センターはまさに「一緒に成長してくれる頼れるパートナー」と言える存在です。 ◾️どんなEC事業者に向いてるの? EC物流センターは、すべてのネットショップに必要というわけではありません。でも、「もっと効率よく運営したい」「出荷ミスをなくしたい」「時間に追われていて困っている」という方にとっては、とても頼れる存在です。 ここでは、EC物流センターの利用がとくにおすすめなケースを紹介します。 1. 注文数が月間300件を超えてきた 最初は自宅や事務所で対応できていても、注文数が増えると作業が追いつかなくなります。とくに月間300件を超えるようになると、商品管理・梱包・発送が本業の時間を圧迫してしまうことが多いです。 そんなとき、EC物流センターに切り替えれば、毎日のルーティンを自動化できて、他の仕事に集中できるようになります。 2. 商品の種類(SKU)が多い アパレル、雑貨、コスメなど、色やサイズ違いが多い商材を扱っていると、在庫管理やピッキングでミスが起きやすくなります。EC物流センターでは、バーコード管理や棚番ごとの保管を行っているため、SKUが多くても正確に出荷できる環境が整っています。 3. 成長を見越して、早めに体制を整えたい 「まだ月100件だけど、半年後には2倍に増やしたい!」という事業者さんにもEC物流センターはおすすめです。最初からプロの仕組みを導入しておけば、成長期にバタつかずスムーズに売上を伸ばせます。倉庫移転やスタッフ追加などの手間もかからず、事業のスケーラビリティが確保できます。 ♦︎どんなショップに向いてる?簡単チェック表 状況説明EC物流センターが向いている理由月間出荷数が増えてきた1日10件以上の出荷がある毎日の作業負担を外注で解消商品の種類が多い色・サイズ・セット商品などバリエーション豊富SKUごとの在庫管理をシステム化少人数で運営している1~2人で運営している出荷にかかる時間を他の業務にまわせる今後の成長を見越したい新商品を増やして事業拡大したい拡張性のある仕組みを先に整備できる顧客対応を強化したい問い合わせやレビュー対応に集中したい物流を任せて本業に注力できる 「まだ自分の規模では早いかも?」と悩む方もいるかもしれませんが、“作業がつらくなってから”ではなく、“ラクに成長できるように”備えるのがコツです。 EC物流センターは、ただの外注ではなく、「あなたのネットショップをもっと強く、スムーズに動かす仕組みのひとつ」です。事業の未来を見据えて、タイミングを見て取り入れてみるのも、ひとつの選択肢です。 ◾️どう選べばいいの? 「EC物流センターにお願いしてみようかな」と思っても、実際に選ぶとなると「どこが良いの?」「何を基準にすればいいの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ここでは、失敗しないEC物流センターの選び方を、わかりやすくご紹介します。 1. 取扱い商品に対応しているか まず確認したいのは、自社の商品がその物流センターで問題なく取り扱えるかどうかです。たとえば「アパレル」や「食品」「雑貨」など、商品ジャンルによって保管方法や梱包の仕方は大きく異なります。 たとえば、冷蔵・冷凍対応が必要な食品を扱っているのに、常温倉庫しかなかった…という失敗例も。逆に、アパレルなど軽くて大量の商品なら、ピッキング効率や梱包の柔軟さが重視されます。 2. 連携できるECシステムがあるか 多くの物流センターでは、受注や在庫の情報を自動でやりとりする「WMS(倉庫管理システム)」を使っています。自社のネットショップと自動で連携できるかどうかは、日々の運用効率に大きく関わります。 たとえば、ShopifyやBASE、楽天、Amazonなど、自社が使っているカート・モールと連携できるか確認しておきましょう。 3. 出荷スピードと柔軟性 出荷スピードは、顧客満足に直結する大事なポイントです。当日出荷に対応しているか、締め時間はいつか、急ぎの注文にも対応できるかなどを見ておくと安心です。 また、「この商品だけノベルティを入れたい」「この期間だけ特別な封入をしたい」といった要望にどこまで応えてくれるかも重要な比較軸になります。 ♦︎比較ポイントまとめ(チェック表) 比較項目確認すべき内容理由商品の取り扱い自社商品に対応しているか(温度・形状など)商品破損やトラブルを防ぐシステム連携ECサイト・モールと自動連携できるか作業効率UP・ミス削減出荷スピード当日出荷、締切時間、土日対応など顧客満足に直結柔軟な対応力封入物、ギフト対応、キャンペーン対応特別な運用も任せられるコスト構成保管料、出荷手数料、初期費用などが明確か予算にあった運用が可能 EC物流センターは“倉庫”というより、“お客様との信頼を支えるパートナー”です。ただ安さや規模だけで選ぶのではなく、「自社の商品に合うか」「長く一緒に成長できそうか」という視点で見ていくことが、後悔しない選び方につながります。 また、いくつかの候補で迷ったときは、実際に問い合わせて話をしてみるのが一番です。説明のわかりやすさ、対応の早さ、こちらの悩みへの寄り添い方などを見れば、「ここに任せても大丈夫そうか」がだんだん見えてくるはずですよ。 まとめ:EC物流センターは“ネットショップの縁の下の力もち” ネットショップの運営では「商品を売ること」に注目が集まりがちですが、その裏側でどれだけスムーズに商品を届けられるかが、お客様の満足度やリピート率を大きく左右します。その重要な役割を担うのが「EC物流センター」です。 これまで見てきたように、EC物流センターは単なる“倉庫”ではありません。受注から出荷、返品対応や販促物の同梱まで、ショップ運営を裏から支える“フルフィルメントの現場”なのです。 とくに、ネット通販では1件1件の注文内容がバラバラで、スピードも求められるため、人の手だけではミスや遅延が起きやすいという現実があります。その課題を解決してくれるのが、自動連携された受注処理、小ロット多品種への対応力、当日〜翌日出荷のスピードなどを備えたEC物流センターの仕組みです。 また、センター選びにおいても「商品との相性」や「システムの使いやすさ」「急な依頼への柔軟さ」など、ポイントを押さえて比較することで、長く安心して任せられるパートナーと出会えるはずです。 ネットショップにおいて、「売る」ことと同じくらい大切なのが「届ける」こと。そして、その“届ける”を支えているのが、EC物流センターです。 これからネットショップを始める方も、今の運用を見直したい方も、この記事をきっかけに「物流」の視点でショップの成長を考えてみてください。EC物流センターは、まさに“縁の下の力もち”。 あなたのビジネスの可能性をもっと広げてくれる、心強い味方になってくれるはずです。 神谷商店が提供する、安心・柔軟・高品質なEC物流センターサービス 神谷商店では、ネットショップ運営に欠かせない「出荷」「在庫管理」「返品処理」などの物流業務を、一気通貫で丁寧にサポートします。ただの倉庫ではなく、“売る人”のパートナーとして並走するフルフィルメントサービスが、私たちの強みです。 ✔ 熟練スタッフによる高精度オペレーション ピッキングや検品、梱包まで、すべての作業を目の行き届いた体制で実施。WMS(倉庫管理システム)との連携で、ヒューマンエラーを最小限に抑えながら、スピード出荷を実現しています。 ✔ 小ロット多品種にも、柔軟に対応します アパレル・雑貨・コスメ・食品など、SKUが多い商品にも柔軟に対応。さらにセット組みやキャンペーン対応、同梱物の封入、熨斗・ギフト対応まで、ショップごとの要望に合わせて細やかにサポートします。 ✔ 柔軟性のある対応力で、“イレギュラー”も安心 「急ぎの出荷に対応してほしい」「特別な同梱物を入れたい」といった声にも、できる限り対応しています。現場と連携しながら、フレキシブルに対応できる体制が整っているからこそ、安心してお任せいただけます。 ✔ 成長を見越した長期的なパートナーに 少量出荷から始めて、数百〜数千件へ。そんなスケールアップにも柔軟に対応可能です。物流体制を整えておけば、売上アップにも自然とつながります。 「どう頼んだらいいか分からない」も、「急に注文が増えて困ってる」も、神谷商店なら、まるごと相談できます。 柔軟さ・スピード・正確さを兼ね備えたEC物流のプロとして、あなたのネットショップを“次のステージ”へ導きます。まずはお気軽にご相談ください! ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.06.12
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物流DX化ってなに?IT化とDXの違いも合わせて解説します
〜現場をラクにするヒントをやさしく解説〜 CONTENTS 物流DX化ってなに?カンタンに説明します 物流のどこがDX化できるの? DX化すると、どんないいことがあるの? 物流DXを進めるにはどうすればいい? 気をつけたいポイントは? 神谷商店が大事にしているDXのカタチ まとめ:DXで物流の仕事をもっとやさしく! ◾️物流DX化ってなに?カンタンに説明します 物流DX(ディーエックス)とは、「物流の仕事を、ITやデジタルの力で便利に・効率よく変えていくこと」です。 たとえば、今まで紙でやっていた在庫管理をパソコンでできるようにしたり、商品を自動で仕分ける機械を導入したりすることも「DX化」にあたります。むずかしく聞こえるかもしれませんが、実は身近な変化のことなんです。 最近では、「人手不足で困っている」「作業にムダが多い」「もっと早く・正確に出荷したい」といった悩みをもつ企業が多くなってきました。そこで注目されているのが、デジタル技術を使って物流を進化させる“DX(デジタルトランスフォーメーション)” という考え方です。 このあと、「そもそもDXってなに?」「どこに効果があるの?」「どうやって始めるの?」という疑問もやさしく解説していきますので、初めての方でも安心して読み進めてくださいね。 ◆そもそもDXってなに? 「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉、最近よく聞くけれど、意味がよくわからない…そんな方も多いと思います。 カンタンにいうと、「デジタル技術で“やり方そのもの”を変えること」 がDXです。たとえば、単に紙からパソコンに変えるのは「IT化」ですが、パソコンを使ってまったく新しい仕組みやルールを作るのが「DX」です。 物流業界に当てはめると、「在庫を手書き表で管理 → ITシステムで自動管理」はIT化。でも「在庫データをリアルタイムに共有して、販売から出荷までを自動連携する」など、業務全体のしくみを変えるのがDXです。 以下の表で、「IT化」と「DX」の違いをまとめてみました。 IT化とDXの違い(物流での例) 項目IT化(デジタル化)DX(デジタルトランスフォーメーション)目的作業を便利にするビジネスのやり方そのものを変える例紙の伝票をExcel管理に切り替える在庫・受注・出荷をシステム連携して自動化使う技術パソコン、表計算ソフト、バーコードなどクラウド、AI、IoT、WMSなど影響の範囲一部の作業・工程会社全体・業務の仕組みゴール作業スピードや正確さの向上コスト削減・人手不足解消・サービス向上など つまりDXは、「道具を変える」だけでなく、「働き方やしくみを根本から変えること」がポイントなんです。 ◆物流DX化で何が変わるの? 物流DX化を進めると、現場の作業や管理の仕方が「人の経験と勘」から「データと自動化」に変わっていきます。 これは単なる機械導入ではなく、「仕事のやり方」そのものが変わる大きな変革です。 たとえば、紙に書いていた在庫管理がタブレットでリアルタイムにできるようになったり、人が手で探していたピッキング作業が自動で最短ルート表示されるなど、「速い・正確・わかりやすい」現場になります。 では、具体的にどんなところが変わるのか、以下のようにまとめました。 ★物流DXで変わること一覧 項目従来のやり方DX化後の変化在庫管理手書き・表計算ソフトで更新クラウドでリアルタイムに自動更新作業手順の共有口頭指示・紙の手順書タブレットや動画マニュアルで誰でもすぐ理解可能出荷チェック目視確認・ダブルチェックスキャンで誤出荷ゼロ・アラート機能付き担当者依存ベテラン頼みの業務誰が作業しても同じ品質で出荷できるお客様対応電話・FAX中心の対応チャット・自動通知でスピードアップ ポイントまとめ 「感覚」や「経験」に頼っていた仕事が、誰でもできる「仕組み」になる 「見える化」で在庫・進捗・ミスを即確認できる 「正確で早い」作業ができて、クレーム・ミスも大幅に削減 ◾️物流のどこがDX化できるの? 物流DX化は、ただITツールを使うだけではありません。現場の流れや課題を見直して、「ムダなく・見える・スムーズ」な仕組みをつくることがポイントです。ここでは、特に効果が出やすい3つの領域について紹介します。 ◆倉庫の管理や在庫の見える化 在庫がどこにあるのか、いくつあるのかをすぐに把握できる状態にするのが「見える化」です。これができていないと、以下のようなことが起こりがちです。 課題よくあるトラブル在庫数の把握がアナログ売り切れの商品を誤って受注ロケーションが分かりづらい商品を探すのに時間がかかる担当者の経験に頼っている担当者がいないと対応できない そこで、WMS(倉庫管理システム)などを使って、商品ごとに「何が・どこに・いくつ」あるかをリアルタイムで管理すれば、誰でもすぐに状況を把握できます。棚卸作業もスピードアップし、誤出荷のリスクも減らせます。 ◆荷物のピッキングや仕分けの自動化 ピッキング(商品を集める作業)や仕分け作業には、人手と時間がかかります。ここに自動化機器やAIの導入が進んでいます。 自動化の例効果自動搬送ロボット(AGV)指定の場所に商品を自動で運ぶデジタルピッキングシステム取り出す商品をライトや画面で指示AI仕分けシステム商品を自動で送り先ごとに分ける これらを導入することで、作業ミスが減り、人手不足にも対応しやすくなります。繁忙期でも安定した出荷体制を保つことが可能になります。 ◆紙をなくして、スマホやパソコンで管理 今でも紙の出荷指示書や在庫表を使っている現場は多いですが、紙からデジタルへの移行は大きな効果を生みます。 従来のやり方DX化したやり方メリット紙の出荷指示書タブレットで出荷内容表示情報更新が即時でミスが減る手書きの伝票控えクラウドでデータ共有紛失・記入ミスの防止電話・口頭での連絡チャット・社内ツール活用情報の伝達が速く正確 ITツールを取り入れることで、事務作業の効率もグンと上がります。特に複数の現場がある会社では、情報の一元化が大きな強みになります。 このように、物流業務の中でも「見えない」「分かりにくい」「手作業が多い」工程を中心にDX化を進めることで、現場全体のスピード・正確さ・柔軟性がぐっと向上します。 ◾️DX化すると、どんないいことがあるの? 物流現場でDX化を進めると、単なる作業のIT化にとどまらず、仕事のやりやすさ・スピード・コストにまで良い影響を与えます。ここでは、主な3つのメリットをわかりやすく紹介します。 ◆人手が少なくてもまわせる 少子高齢化や人材不足が続く中、DX化は“限られた人員で効率よく働く”ための強力な武器になります。 項目内容自動ピッキング経験が浅いスタッフでもミスなく対応できる作業ガイドのデジタル化手順が明確で教育コストが削減できるデータによる管理作業進捗や在庫状況をリアルタイムで確認できる 誰でもすぐに作業ができる仕組みが整えば、属人的な体制から抜け出し、急な人員変更にも対応できる柔軟な現場になります。 ◆ミスが減って仕事がスムーズに 出荷ミス・在庫違い・伝票の間違いなどは、顧客の信頼にも関わる重要なポイント。DX化によって情報の一元化と自動化が進めば、こうしたミスも大きく減らせます。 従来の課題DX化による改善手書き伝票で数字ミス自動入力やバーコード管理でミスを防止担当者の記憶に頼った出荷デジタルチェックで誰でも正確に対応できる出荷後の確認が困難履歴や在庫状況をすぐに確認・修正できる これにより、作業のスピードも上がり、スタッフのストレスや再作業の手間も大きく軽減できます。 ◆ムダが減ってコストもカット DX化によって「余計な作業」「無駄な時間」「不要な資材」などを削減でき、物流コスト全体を見直すことができます。 コスト削減ポイント具体的な内容配送回数の最適化在庫状況の把握でまとめ出荷が可能梱包資材の節約自動計算により適切な梱包サイズを選定作業時間の短縮手順の見える化・デジタル化で時間のロスを回避 このように、“見えなかったムダ”が数字として見えるようになるのもDX化の大きな魅力。少ない資源で最大のパフォーマンスを出すことが可能になります。 この章では、DX化によって得られる“実際の効果”に焦点を当てました。現場の効率やミス削減、コスト見直しといった改善は、すべてが企業全体の強みにつながります。 ◾️物流DXを進めるにはどうすればいい? DX化はただシステムを導入するだけでは成功しません。大切なのは「自社に合ったやり方で、現場がきちんと使いこなせる仕組みを作ること」です。ここでは、無理なくスタートするための3ステップをご紹介します。 ◆まずは「困ってること」を整理しよう 最初にやるべきことは、「どこで困っているのか」「どこを変えたいのか」をはっきりさせることです。 チェックポイント例内容例ピッキングに時間がかかっている商品の場所が分かりにくく、探す時間が長い出荷ミスが多い注文と伝票の突合せが手作業になっている在庫が合わないことがある棚卸しが手書き・更新が遅れている こうした課題は、現場のスタッフが一番よく知っています。現場の声をヒアリングして、具体的な課題リストを作ることが出発点になります。 ◆みんなで話し合ってスタート DXは一部の人だけで進めても、現場全体に広がらなければ意味がありません。だからこそ、部門をまたいだ話し合いがとても大切です。 話し合うべきこと目的「どの業務を変えるか」目標を明確にし、導入範囲を絞る「誰が中心となって進めるか」リーダーを決めて情報の共有や進行管理を明確に「現場にどんな不安があるか」早い段階で声を拾い、不満や抵抗を減らす “みんなで決めて進める”姿勢が、現場に浸透するDXを実現するカギです。 ◆使いやすい道具やシステムを選ぶ DX化の失敗の多くは「難しすぎるツールを選んだ」ことが原因です。大切なのは、誰でも直感的に使える“シンプルな道具”を選ぶことです。 ツール選定のポイント解説スマホやタブレットで使えるか現場で操作しやすく、教育コストも下がる既存のシステムとつながるか二重入力が不要になり、作業がスムーズになるサポート体制があるか操作ミスやトラブル時にすぐ相談できる 「使いやすいかどうか」は、高機能かどうか以上に重要な判断基準です。 この章では、物流DXをスタートするための基本ステップをご紹介しました。ポイントは、「現場から始めること」と「みんなで進めること」。自社にあった一歩から始めることで、無理なくDX化を成功に導くことができます。 ◾️気をつけたいポイントは? 物流DXを進めることで多くのメリットが得られますが、導入時に注意しないと「思っていたより大変…」「効果が出ない…」ということにもなりかねません。ここでは、よくある失敗や落とし穴を避けるために意識すべきポイントを3つ紹介します。 ◆現場とシステムのズレに注意 便利なツールを入れたつもりでも、実際の現場に合っていないと逆に手間が増えてしまうことがあります。 よくあるズレの例影響倉庫の動線に合っていない操作画面移動が多くなって作業が非効率になる実情とかけ離れたルール設定作業者がルール通りに動けず混乱が生まれる ツールやルールは、“机上の理想”ではなく“現場でどう使われるか”を軸に考えることが重要です。導入前には、現場でのテスト運用や意見収集をしっかり行いましょう。 ◆お金も時間もかかるかも DXは「すぐに」「簡単に」できることではありません。導入するにはある程度の初期コストや教育時間が必要です。 費用・時間の内訳例内容例システムの導入費・月額利用料パッケージ費用やクラウド利用料社内教育やマニュアル作成の時間スタッフへの研修や操作マニュアル作成データの初期登録作業在庫情報・商品情報の登録や棚番の整理など 「最初のハードルは少し高め」ですが、長い目で見れば業務の効率化やコスト削減につながります。費用対効果を冷静に見て判断しましょう。 ◆スタッフみんなが使えるようにする DXの失敗でよくあるのが、「一部の人しか使えていない」「現場が混乱している」というケースです。 起きやすい問題解決のための工夫年齢層が高くITに不慣れな人が多いスマホ操作がカンタンなツールを選ぶ教えてくれる人が限られている操作ガイドや動画マニュアルを用意する使い方がバラバラでミスが出る業務フローをルール化し、全員に統一する 「誰でも使える」「みんなが同じ使い方ができる」ことを意識することで、現場の混乱を減らし、スムーズな運用が実現できます。 このように、DXを進める際は「導入前の準備」と「導入後の運用サポート」の両方が欠かせません。道具を入れて終わりではなく、「使い続けられる仕組みづくり」が本当の成功へのカギです。 ◾️神谷商店が大事にしているDXのカタチ 物流DXとひとことで言っても、現場によって課題や状況はさまざまです。私たち神谷商店は「現場の声を中心にしたDXこそ、意味のある変化を生む」と考えています。導入することが目的ではなく、「使いやすくて、続けられて、成果が出る」DXを目指しています。 ◆現場の声を大事にしたサポート 「難しくて結局誰も使っていない…」というDXでは意味がありません。 神谷商店では、現場スタッフが実際にどんな作業をしているか、どこで手間がかかっているかを一緒に確認した上で、システムや仕組みの改善提案を行っています。 神谷商店の取り組み内容ヒアリングの実施倉庫スタッフの作業内容・課題を丁寧に聞き取る試験導入で現場フィードバック確認小さな範囲で導入して使いやすさを検証現場改善×システム改善の両輪サポート作業動線やレイアウトの見直しも含めて提案 「現場が困らないDX」を進めるための伴走型サポートが、私たちのこだわりです。 ◆使う人がラクになる仕組みづくり 多機能なシステムより、簡単に使える仕組みが物流DXでは大切です。神谷商店では、現場のスタッフが“自分たちで使いこなせる”ことを最優先にさらに業務の属人化をなくせるよう以下のような工夫を取り入れています。 工夫しているポイント具体的な内容例直観操作ができるハンディターミナルの使用現場スタッフでも臨機応変に対応できる簡単操作可能な端末を使用各作業を階層分け!作業スキームを明確化!!作業を階層化しているので「今」「何の」「次の」作業をしているかわかりやすい基本は増減のみ!簡単講習で誰でもすぐ使える直観的システム押すボタンをシステムで色分けしているので初出勤スタッフでもすぐに使いこなせる!ミスをしてもシステムが反応!ピックミスや仕分けミス、類似商品の間違えなど起こしやすいミスもハンディターミナルとシステムが音で教えてくれる! 倉庫業の専門的知識がなくても誰でも使え、全員が「わかりやすく」「ミスゼロ」で作業できるようシステムでサポートを神谷商店では行っています。 このように神谷商店では、現場のリアルに寄り添いながら、「続けられるDX」を実現しています。新しい仕組みが“使いづらさ”を生まないように、一つひとつの工程を大切にサポートしていく姿勢が、私たちの強みです。 まとめ:DXで物流の仕事をもっとやさしく! 物流DX化は、「難しいことをする」のではなく、毎日の仕事をもっと“やさしく”するための工夫です。 たとえば―― 在庫の場所がすぐにわかる 出荷ミスが減って安心できる 紙の伝票がいらなくなって、入力も手間いらず そんな「ちょっとラクになること」が積み重なることで、現場の働き方も、会社全体の効率も、大きく変わっていきます。 そして、DX化は“ひとりではできない”取り組みです。現場の声を聞いて、チームで話し合いながら、一歩ずつ進めていくことが大切です。 神谷商店では、「まずは今の困りごとを整理する」ことから一緒にスタートし、「使いやすいDX」を現場と一緒に作り上げていきます。 ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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2025.03.19
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巨大倉庫とは?定義・背景・課題を徹底解説
EC市場の急成長に伴い、「巨大倉庫」の需要が急増しています。かつての倉庫は単なる保管施設でしたが、現在は流通加工・仕分け・自動化を備えた次世代型物流拠点へと進化。Amazonや楽天をはじめ、企業は物流の効率化を追求しています。 一方で、人手不足・物流コストの上昇・環境負荷といった課題も浮上。本記事では、巨大倉庫の定義・背景・賃貸の活用法・課題と対策を解説し、物流の未来を考察します。 CONTENTS 巨大倉庫とは 巨大倉庫の定義 巨大倉庫が増加した背景 巨大倉庫を賃貸するという考え 巨大倉庫の課題 巨大倉庫とは?まとめ ■巨大倉庫とは かつて倉庫は、単なる「保管」を目的とした施設であり、物資の一時的な置き場として機能していました。しかし、2000年代以降、物流の高度化とEC市場の急成長により、単なる保管機能だけでなく、流通加工・仕分け・梱包・出荷など、多様な業務を担う施設として進化を遂げました。 特に、EC市場の拡大がこの変化を加速させた要因の一つです。消費者の「翌日配送」や「時間指定配送」などの高度な物流ニーズに応えるため、大規模な物流拠点を設置する企業が増えています。Amazonや楽天市場、ZOZOTOWNといったEC大手は、自社物流の強化を目的として、ロボットを活用した自動化倉庫やAIを活用した倉庫管理システムを導入するなど、物流の効率化に注力しています。 この流れを受けて、日本国内では巨大倉庫の建設が急増しています。国土交通省の調査によると、平成21年以降、日本国内の倉庫棟数および倉庫の総床面積は継続的に増加しており、令和2年には前年比26.7%増の11,348千㎡に達しました。 (出典:国土交通省 倉庫統計) ◗倉庫の進化と今後の展望 かつての倉庫は、製造業や小売業が商品を一時的にストックする場として機能していましたが、現在の巨大倉庫は、物流センターとしての役割が非常に大きくなっています。物流拠点の統廃合が進み、一部の倉庫ではAIを活用した自動仕分けシステムや、無人搬送ロボット(AGV)を導入することで、物流の効率化と省人化が加速しています。 また、国土交通省の「倉庫統計季報」では、倉庫業法に基づく定期報告(入出庫高・保管残高等)のデータを公表しており、国内の倉庫業の現状と推移を把握する上で重要な指標となっています。 (出典:倉庫統計季報) ◗巨大倉庫の今後 EC市場の拡大が続く限り、巨大倉庫の需要は今後も拡大すると考えられます。しかし、同時に物流業界は「人材不足」「高騰する物流コスト」「環境負荷の低減」などの課題にも直面しており、今後はさらなる省人化・自動化の導入が不可欠となる見込みです。 倉庫の大型化が進む一方で、地域の人手不足や交通インフラの問題などが浮上しており、持続可能な物流の実現に向けた取り組みが求められています。企業は単に巨大倉庫を建設するだけでなく、環境負荷の少ない物流拠点の構築や、労働環境の整備にも注力していく必要があるでしょう。 ■巨大倉庫の定義 巨大倉庫とは、一般的に大規模な面積を持つ物流拠点を指します。近年、EC市場の急成長に伴い、より効率的な物流システムの構築が求められた結果、倉庫の大型化・高度化が進んでいます。 特に、倉庫単体の建設ではなく、物流設備と一体化した「大型物流倉庫」の建設が増加しており、高機能化が進んでいます。これにより、従来の単なる「保管庫」としての機能を超え、流通加工・仕分け・梱包・出荷といった業務を一括で行う、総合的な物流ハブの役割を担うようになりました。 また、倉庫の運用に関しては建築基準法に基づく規制があり、100㎡未満の倉庫は建築物として認められないため、倉庫運営を行う際には一定の基準を満たす必要がある点にも注意が必要です。 ◗代表的な巨大倉庫の事例 日本国内および海外の大手EC事業者・物流企業は、物流の効率化と省人化の推進を目的に、巨大倉庫の建設・運営を積極的に進めています。特に、AI・ロボティクスの導入や自動化技術の活用が進んでいる点が特徴です。 企業名倉庫名累計延床面積ZOZOTOWNZOZOBASE62.7万㎡Amazonフルフィルメントセンター(FC)145万㎡アスクルASKUL関東DC35万㎡ ◇ZOZOTOWN(ZOZOBASE) 千葉県・茨城県に複数の拠点を展開 自動化技術を導入し、省力化を推進 作業の標準化と人員コスト削減を実現 ◇アマゾン(フルフィルメントセンター) 全国25カ所以上に物流拠点を展開 ロボットとAIを活用した自動倉庫を導入 大規模な配送ネットワークを構築し、迅速な出荷を実現 ◇アスクル(ASKUL関東DC) 2025年稼働予定の最新倉庫 関東から東北エリアまで配送可能な物流拠点 ロングテール商品の効率的な管理と配送の最適化を実施 これらの企業は、巨大倉庫の高度な物流機能を活かしながら、省人化・自動化・環境負荷の低減を目指しています。今後も、物流のDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展とともに、さらに倉庫の大型化・効率化が進むと予測されます。 ■巨大倉庫が増加した背景 近年、巨大倉庫の建設が加速している背景には、EC市場の急成長や、物流の最適化を目的とした3PL(サードパーティ・ロジスティクス)の普及が大きく影響しています。これにより、単なる「保管倉庫」ではなく、物流センターとしての機能を備えた大規模な施設の需要が高まっています。 ◗EC市場の成長と物流ニーズの変化 EC市場の急成長により、消費者の購買行動が変化し、それに伴い物流の効率化が求められるようになりました。 ▸物販系EC市場の拡大2019年に約10兆515億円だった物販系EC市場は、2020年には約12兆2,333億円に成長し、1年間で約2兆円以上の増加を記録しました。EC化率(全商取引に占めるECの割合)も年々上昇しており、今後も市場の拡大が見込まれています。 (出典:CommercePick) ▸多頻度小口配送の需要増加ECの拡大により、個人向け配送が増加し、「少量・多頻度の配送」が一般化しました。 これに対応するため、巨大倉庫を活用した効率的な物流網の整備が進んでいます。 ▸「ラストワンマイル配送」の重要性消費者の「即日配送」や「時間指定配送」といったニーズに応えるため、配送拠点の最適化が不可欠になっています。これにより、大都市圏近郊に大規模な物流拠点(巨大倉庫)が次々と建設されています。 ◗物流の最適化と3PLの普及 企業が物流業務を効率化するために、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)を活用する動きが加速しています。 物流業務の外部委託の増加物流業務を専門の物流企業に委託することで、物流コストを削減し、配送の最適化を図る企業が増加しています。例)メーカーや小売業者が、倉庫の保有をやめ、巨大倉庫を賃貸するケースが増えている。 統合型物流センターの需要増各企業が分散していた複数の倉庫を統合し、巨大倉庫に一元化することで、管理コストの削減・配送リードタイムの短縮を実現。 自動化技術の導入巨大倉庫では、AI・ロボット・自動仕分けシステムを活用し、人手不足の課題を解決しながら物流の効率化を進めている。 今後はさらに・・・ EC市場のさらなる拡大により、巨大倉庫の需要は今後も増加すると考えられる。 物流業界の人手不足問題に対応する為、自動化・省人化の導入が不可欠となる。 環境負荷の低減を目的とした、エネルギー効率の良い物流施設の開発が進む可能性が高い。 ■巨大倉庫を賃貸するという考え 巨大倉庫を自社で保有するのではなく、賃貸して運用する企業が増えています。 倉庫の建設には多額の初期投資が必要であり、土地の確保や管理コストの負担も大きくなります。そのため、賃貸型倉庫を活用することで、コストを抑えながら効率的な物流運営を実現できます。 巨大倉庫の賃貸形態には、「マルチテナント型倉庫」と「BTS(Build to Suit)型倉庫」の2つの主要な形式があります。 ◗マルチテナント型倉庫とBTS型倉庫の比較 倉庫タイプ特徴メリット適した企業マルチテナント型倉庫複数の企業が設備を共有する賃貸型倉庫- 初期投資を抑えられる- 契約期間が柔軟- 防災設備や共用施設が充実- 変動する物流量に対応したい企業- 期間限定で倉庫を利用したい企業BTS(Build To Suit)型倉庫企業ごとにオーダーメイドで設計される賃貸倉庫- 業務効率を最大化できる- 自社専用設計で最適な動線を確保- 長期的なコストメリットがある- 安定した物流拠点を持ちたい企業- 特定の設備やレイアウトが必要な企業 ●マルチテナント型倉庫 マルチテナント型倉庫とは、複数の企業が利用する賃貸型倉庫のことを指します。一般的に、物流事業者や不動産開発会社が倉庫を建設し、複数のテナント企業が設備を共有する形で利用します。 ▸主な特徴 コスト削減:設備投資や管理コストの負担が軽減される 利便性の向上:施設内に休憩スペースやコンビニを併設しているケースが多い 防災対策が整備:既存のスプリンクラーや非常用電源などを活用できる ▸マルチテナント型倉庫のメリット メリット 詳細柔軟な契約形態契約期間が比較的短く、事業規模の変化に応じて倉庫の拡大・縮小が可能立地の選択肢が広い主要な物流拠点の近くに建設されることが多く、配送効率が向上する設備の共有によるコスト削減大型エレベーター・垂直搬送機・高天井ラックなど、最新の物流設備を活用できる ▸導入事例 業界 活用例物流業界ECサイトを運営する企業が、出荷量に応じて倉庫スペースを調整小売業界在庫を管理するためにマルチテナント型倉庫を活用し、流通拠点の効率化を実施 ●BTS(Build To Suit)型倉庫 BTS型倉庫とは、企業の業務に合わせてオーダーメイドで設計・建設される賃貸倉庫です。入居企業の要望に基づいて立地や施設の仕様を決定し、物流ニーズに最適化された倉庫が提供されます。 ▸主な特徴 特徴 内容オーダーメイド設計業務内容に応じて倉庫のサイズ・搬送設備・動線などをカスタマイズ可能長期契約が一般的一定期間の使用が前提となるため、安定した物流拠点の確保が可能高機能設備の導入最新の自動倉庫システム・AIによる在庫管理が組み込まれることが多い ▸BTS型倉庫のメリット メリット 詳細業務効率の最大化自社の業務に特化した倉庫設計ができるため、作業効率が向上長期的なコストメリット初期投資を抑えながらも、自社専用設計の倉庫を利用できるブランド戦略に貢献自社専用の倉庫として、物流の一貫性を確保し、ブランド価値を向上できる ▸代表的なBTS倉庫 BTS倉庫の代表例として、LMT(ラージマルチテナント)があります。これは、巨大な倉庫を縦分割・フロア分割し、複数の企業が利用する高機能物流施設です。日本全国で、このようなBTS型の大型倉庫の供給が増えています。 まとめ 倉庫タイプ 特徴 メリット 適した企業マルチテナント型倉庫複数の企業が設備を共有する賃貸型倉庫- 初期投資を抑えられる - 契約期間が柔軟 - 防災設備や共用施設が充実- 変動する物流量に対応したい企業- 期間限定で倉庫を利用したい企業BTS(Build To Suit)型倉庫企業ごとにオーダーメイドで設計される賃貸倉庫- 業務効率を最大化できる - 自社専用設計で最適な動線を確保 - 長期的なコストメリットがある- 安定した物流拠点を持ちたい企業 - 特定の設備やレイアウトが必要な企業 今後も、物流の効率化とEC市場の拡大に伴い、賃貸型巨大倉庫の需要はさらに高まると考えられます。企業は、自社の物流戦略に応じて、最適な倉庫形態を選択することが重要です。 ■巨大倉庫の課題 巨大倉庫は物流の効率化を支える重要なインフラですが、一方で人材確保・作業効率・DX化の遅れといった課題も抱えています。これらの問題に適切に対応することで、持続可能な物流システムの構築が可能となります。 ◗巨大倉庫の主な課題と対応策 課題 問題点 対応策人材獲得競争- 巨大倉庫が集中するエリアでは、労働力の確保が困難- 物流業界全体で慢性的な人手不足が続いている- 倉庫の立地選定を最適化(人材が確保しやすい地域)- 労働環境の改善(福利厚生・給与水準の向上)- 自動化技術の導入による作業負担軽減移動時間の増加- 倉庫の規模が大きくなることで、作業スタッフの移動距離が長くなる- 非効率な動線設計により、作業時間が増加- AGV(無人搬送ロボット)や自動倉庫システムの導入- 作業効率を考慮したレイアウト設計(ピッキングエリアの最適化)物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性- 物流業界のDX化は進んでいるものの、未導入の倉庫も多い- 自動化システムの導入コストが高いため、中小企業では普及が進みにくい- AI・ロボティクスの導入(自動仕分け・無人ピッキングシステム)- データ活用による在庫最適化(倉庫管理システムの導入)- 補助金や助成金の活用でDX導入コストを軽減 ▸人材獲得競争 ◗問題点 巨大倉庫が物流ハブエリアに集中することで、周辺地域での人材獲得競争が激化しています。特に、労働力不足が深刻化している物流業界では、人員確保がますます困難になっています。 ◗対応策 対策 具体的な施策立地の最適化人口密集地に近いエリアへの倉庫建設、通勤アクセスの改善労働環境の改善高待遇・福利厚生の充実、シフト柔軟化による働きやすさ向上自動化技術の導入作業負担軽減のためのロボット活用(例:ピッキングロボット) ▸移動時間の増加 ◗問題点 倉庫の大規模化により、作業スタッフの移動距離が増加し、業務効率が低下するリスクがあります。特に、倉庫内のレイアウト設計が適切でない場合、無駄な移動が増えてしまうことが問題となります。 ◗対応策 対策 具体的な施策AGV(無人搬送ロボット)の活用商品の自動搬送により、作業員の移動を最小限に抑える動線最適化倉庫内のピッキングエリア・保管エリアの配置を見直し、最短距離で作業が完了する設計垂直搬送システム多層階の倉庫では、エレベーターや自動搬送機を導入し、効率的な移動を実現 ▸物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性 ◗問題点 現在、多くの倉庫では自動化技術が導入されつつありますが、物流DXの普及率は依然として低い状況です。特に、中小企業では導入コストの問題もあり、デジタル化が進みにくいという課題があります。 ◗対応策 対策 具体的な施策AI・ロボティクスの導入自動仕分け・無人ピッキングシステムを導入し、省人化を促進データ活用による最適化倉庫管理システム(WMS)の導入により、在庫管理をリアルタイムで最適化補助金や助成金の活用DX導入にかかるコストを軽減するため、政府支援を活用 巨大倉庫は、EC市場の拡大や物流の効率化により、今後ますます重要な存在となります。しかし、その一方で人手不足の深刻化、作業効率の低下、物流DXの遅れといった課題が顕在化しています。 これらの課題を解決するためには、自動化・省人化技術の導入、作業動線の最適化、デジタル技術を活用したDXの推進が不可欠です。また、政府の補助金や助成金を活用し、DX導入コストを抑えつつ、効率的な物流システムを構築する事も重要です。 今後の物流業界においては、巨大倉庫の役割がさらに拡大すると予想されますが、その持続可能性を確保するためには、これらの課題に対する適切な対策を講じることが不可欠です。 企業は、最新技術を積極的に取り入れながら、効率的かつ持続可能な物流オペレーションを構築することが求められるでしょう。 ■巨大倉庫のまとめ 巨大倉庫は、EC市場の成長や物流の高度化に伴い、従来の単なる保管施設から、流通加工・仕分け・梱包・出荷までを担う高度な物流拠点へと進化してきました。特に、消費者の「即日配送」や「時間指定配送」といったニーズに対応するため、大手EC企業を中心に、AIやロボティクスを活用した自動化倉庫の整備が進んでいます。 また、巨大倉庫の運営形態にはマルチテナント型倉庫とBTS型倉庫の2種類があり、それぞれの企業ニーズに応じた選択が求められます。賃貸型倉庫を利用することで初期投資を抑えつつ、柔軟に物流拠点を確保する企業が増えており、今後もその傾向は続くと考えられます。 しかし、巨大倉庫の拡大に伴い、以下のような課題も浮上しています。 人材獲得競争:物流業界全体の人手不足が深刻化し、労働力確保が困難 移動時間の増加:倉庫が大規模化することで、作業スタッフの移動時間が長くなり、業務効率が低下 物流DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れ:自動化システムの導入コストが高く、中小企業では普及が進みにくい これらの課題に対応するためには、AI・ロボティクスの導入、動線設計の最適化、倉庫管理システム(WMS)によるデータ活用などが必要です。また、政府の補助金や助成金を活用することで、DX導入のコスト負担を軽減することも有効な手段となるでしょう。 今後はEC市場のさらなる成長により、巨大倉庫の需要は今後も拡大すると考えられます。しかし、持続可能な物流運営を実現するためには、省人化・自動化技術の導入、環境負荷の低減、労働環境の改善が不可欠です。企業は、自社の物流戦略に適した倉庫形態を選択し、最新技術を活用しながら、効率的で持続可能な物流オペレーションを構築することが求められます。 巨大倉庫は、今後も物流の要として重要な役割を担い続けますが、その運営には 「 コスト ・ 人材 ・ 技術 」 といった多角的な視点からの戦略的なアプローチが必要です。 ◇参考記事(無料で閲覧可能) ・大型倉庫物流センターとは?その役割と機能についてわかりやすく解説! ↓↓お問い合わせはこちら↓↓ 倉庫業から創庫業へ 株式会社神谷商店
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