EC物流センター完全ガイド|物流センターとの違いや課題解決方法を徹底解説
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EC物流センターの基礎知識から課題解決まで完全解説。通常の物流センターとの4つの違い、入荷から出荷までの業務フロー、人手不足など5つの課題と効果的な解決方法を詳しく紹介します。
目次
■EC物流センターとは?
■通常の物流センターとの4つの違い
〇特徴比較表
■EC物流センターの業務フロー
〇保管方法の種類
■EC物流センターが抱える5つの課題
■課題解決のための4つのポイント
〇ロケーション管理の種類
■EC物流センターの違いや課題解決のまとめ
■EC物流センターとは?
Electronic Commerce(EC)とは、インターネット上で商品やサービスの取引を行う売買・流通の新しい形態です。インターネットで商品を注文してから手元に届くまでには、入荷、保管、梱包、配送といったプロセスがあり、これらの「EC物流」を行う拠点が「EC物流センター」です。
D2C(Direct to Consumer/顧客に直接自社製品を販売する販売方式)物流の中心となるBtoC(企業が一般消費者を対象に商品やサービスを提供するビジネス形態)の市場規模は年々拡大しており、2019年には19兆円を突破する大幅な成長を遂げています。
この市場規模拡大に伴い、EC物流センターの数も増加の一途を辿っています。消費者のオンラインショッピング需要の高まりにより、EC物流センターの重要性はますます高まっているのが現状です。
■通常の物流センターとの4つの違い
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EC物流センターには、通常の物流センターとは異なる独自の特徴があります。
1. 商品が多種多様になる
EC物流センターはBtoCが中心となるため、一人あたりの購入点数や購入金額が少なくなりがちです。また商品のバリエーションが豊富という特徴があるため、保管しなければならない商品は必然的に多く、種類も多様になります。そのため、配送先の管理や梱包作業も複雑化しやすい傾向にあります。
2. 同梱物のチョイスが重要になる
ECサイトで商品を購入する消費者の中には、「ギフト用」として商品を選んでいる人も少なくありません。ギフト用のニーズに応えるため、ギフト包装は当然として、メッセージカードやギフトカードなどの同梱物にも細やかな配慮が必要です。
普段は納品書を同梱している場合でも、ギフト用荷物には納品書を入れないなど、きめ細やかな対応が求められます。また、ブランドへの興味や親しみを持ってもらうため、関連チラシやリーフレットを同梱し、次回購入につなげる取り組みを行う企業も増えています。
3. 一般家庭への配送がほとんどである
EC物流では一般消費者がインターネット経由で商品を購入するため、配送先は一般家庭がほとんどです。従来の物流業務では、配送先はスーパーや百貨店、飲食店などの実店舗が中心でした。
これはBtoB(Business to Business/企業間取引)事業であり、メーカーから店舗へ納品後、店舗から一般消費者へ流通する形態でした。そのため、EC物流センターは配送先が大幅に増加し、管理が煩雑になりやすいという課題を抱えています。
4. 梱包にも工夫が必要になる
注文商品が消費者の手元に届いた際、最初に目にするのは梱包資材(ダンボールなど)です。最近では、ブランドオリジナルデザインのダンボールや梱包資材を使用する企業が増加しています。
無機質なダンボールよりも、独自デザインが施された箱で届いた商品の方が、より強いインパクトや喜びを感じてもらえる可能性が高いためです。ダンボール以外にも、包装紙やショップステッカーなどにオリジナルデザインを採用する例も多くあります。
〇特徴比較表
項目 | 通常の物流センター | EC物流センター |
取引形態 | 主にBtoB | 主にBtoC |
配送先 | 実店舗中心 | 一般家庭中心 |
商品特性 | 大ロット・少品種 | 小ロット・多品種 |
梱包要件 | 標準的な梱包 | ギフト対応・ブランド訴求 |
同梱物 | 納品書程度 | メッセージカード・チラシ等 |
■EC物流センターの業務フロー

EC物流センターでは、以下の4つの主要工程で業務が進行します。
1. 入荷・検品
商品がEC物流センターに到着すると、まず「入荷」作業で商品が受け入れられ、その後検品作業が行われます。検品では商品の数量や品質、ラベル表示など、商品が正しく入荷されているかをチェックします。この段階での正確性が、後続工程の品質を左右する重要なポイントです。
2. 保管
検品を終えた商品はEC物流センター内で保管されます。商品の特性や回転率に応じた最適な保管方法を選択することが重要です。効率的な保管により、ピッキング作業の時間短縮と正確性向上が実現できます。
3. ピッキング
注文内容に応じて商品の場所を特定し、棚などから取り出す作業です。この工程はEC物流センターの中で最もコストと手間のかかる作業の一つとなっています。正確で迅速なピッキングが、顧客満足度に直結する重要な工程です。
4. 梱包・出荷
ピッキングされた商品は梱包作業へ向かいます。商品の安全性や見た目に配慮した梱包・包装が行われます。現代では環境問題への配慮が求められるため、過剰包装の削減や再利用可能な梱包材の使用が進められています。
フルフィルメントサービスを利用する場合は、配送状況をリアルタイムで追跡できるため、顧客の安心感が高まります。
〇保管方法の種類
保管方法 | 対象商品 | 特徴・メリット |
パレット保管 | 大型商品・重量物 | フォークリフト使用、効率的管理 |
ケース保管 | 中型商品・高回転商品 | 中身が見やすく管理しやすい |
巣箱保管 | 衣類品 | 日焼けや埃から保護 |
ハンガー保管 | 衣類 | シワや変形を防止 |
ラック保管 | 小型商品・多品種商品 | 商品が見やすく取り出しやすい |
■EC物流センターが抱える5つの課題

EC物流センターは急速な市場拡大に伴い、以下のような課題を抱えています。
1. 慢性的な人手不足
BtoC市場の急激な拡大により、物流業務量が大幅に増加している一方で、必要な人材の確保が困難な状況が続いています。特に繁忙期には深刻な人手不足が発生し、業務品質の低下や配送遅延のリスクが高まります。
2. リアルタイムでの受発注把握困難
受注情報の把握が遅れることで、無駄な作業が発生し、業務効率が低下しています。リアルタイムでの情報共有ができないため、在庫状況と受注状況の不一致が生じやすくなります。
3. 正確な在庫管理の困難さ
在庫情報の不正確さにより、機会損失が発生しています。在庫があるのに「在庫切れ」表示になったり、逆に在庫がないのに注文を受けてしまうなどの問題が発生し、顧客満足度の低下につながります。
4. クレーム対応・フロー改善の遅れ
クレーム発生時の対応や業務フローの改善に時間がかかり、問題の根本的解決が遅れています。これにより同様の問題が繰り返し発生し、顧客信頼度の低下を招く恐れがあります。
5. 効率化ポイントの見極めの困難さ
業務全体の中で、どの部分を優先的に効率化すべきかの判断が困難です。限られたリソースを最も効果的な改善に集中投入するための分析と判断が求められています。
■課題解決のための4つのポイント
これらの課題を解決するために、以下の4つのアプローチが有効です。
1. 売上に応じた商品保管場所の変更
商品の出荷頻度に応じて保管場所を最適化することで、ピッキング効率を大幅に向上させることができます。高回転商品は取りやすい場所に、低回転商品は奥の方に配置するなど、戦略的なレイアウト変更が重要です。
2. 不良在庫の定期確認
定期的な在庫チェックにより、売れ行きの悪い商品や賞味期限が近い商品を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。これにより、倉庫スペースの有効活用と機会損失の削減が実現できます。
3. 管理システムやロボットの導入
受注管理システムの導入により業務効率化を図り、受注・管理をスムーズに行うことが可能になります。正確な受注や商品管理により受発注ミスが減り、クレーム防止にもつながります。また、自動化技術の導入により人手不足の解消も期待できます。
4. 専門家への外注
物流専門企業への外注により、専門知識とノウハウを活用した高品質なサービスを受けることができます。自社のコア業務に集中しながら、物流品質の向上とコスト削減の両立が可能になります。
〇ロケーション管理の種類
EC物流にはロケーション管理という重要な考え方があります。代表的な保管方法は以下の通りです。
管理方式 | 特徴 | メリット | デメリット |
固定ロケーション | 商品ごとに保管する棚を事前に決定 | 商品の場所が分かりやすい、新人でも対応可能 | スペース効率が悪い、商品増減への対応が困難 |
フリーロケーション | 任意の棚に商品を保管 | スペース効率が良い、柔軟な対応が可能 | システム管理が必須、習熟に時間が必要 |
商品特性や取扱量に応じて、最適なロケーション管理方式を選択することが重要です。
■EC物流センターの違いや課題解決のまとめ

EC物流センターは、急成長するEC市場において極めて重要な役割を担っています。通常の物流センターとは異なる独自の特徴を持ち、多種多様な商品への対応、ギフト需要への配慮、一般家庭への配送、ブランド訴求を考慮した梱包など、高度で複雑な業務が求められます。
人手不足やリアルタイム管理の困難さ、在庫管理の複雑化など様々な課題を抱える中で、売上に応じた保管場所の最適化、不良在庫の定期チェック、管理システムの導入、専門家への外注などの解決策を効果的に組み合わせることが重要です。
特にロケーション管理の最適化や自動化技術の導入により、業務効率化とヒューマンエラーの防止を同時に実現することが可能です。EC物流センターの戦略的な運営により、顧客満足度向上とビジネス成長を両立させることができるでしょう。
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