EC物流倉庫完全ガイド|3つのタイプ別特徴と選定ポイントを徹底解説

EC物流倉庫の基礎知識から選定ポイントまで徹底解説。3つのタイプ別特徴、外部委託のメリット・デメリット、スピード対応の重要性を分かりやすく紹介。倉庫立地・業務内容・システム連携の選定基準も詳しく説明します。
目次
■EC物流倉庫とは?
■EC物流倉庫の種類と特徴
〇3つの主要タイプ
〇各タイプの比較表
■EC物流倉庫の4つの特徴
■EC物流倉庫の重要業務とスピード対応
〇スピードアップのポイント
■外部委託のメリット・デメリット
〇メリット・デメリット比較表
■EC物流倉庫選定の3つのポイント
■EC物流倉庫まとめ
■EC物流倉庫とは?
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EC(電子商取引)とは、インターネット上で行う商品やサービスの売買を指します。EC事業に関する物流業務を「EC物流」と呼び、その拠点となるのが「EC物流倉庫」です。
EC物流倉庫は、物流プロセスにおいて商品の保管から流通、加工、出庫まで担う重要な役割を持っています。インターネットの普及により、自社サイトやモール型サイトで販売する企業が急増し、それに伴いEC物流量も拡大を続けています。そのため、EC物流倉庫の重要性はますます高まっているのが現状です。
■EC物流倉庫の種類と特徴
〇3つの主要タイプ
EC物流倉庫は、運営主体によって大きく3つのタイプに分類されます。
1. 倉庫サービス主体型
カスタマイズ性を重視する企業に適したタイプです。電化製品の組み立て、木材・ガラス材の加工、生鮮食品の加工など、多様な商品加工に対応できます。商品のラベル貼り、タグ付け、梱包、ラッピングなど、企業のニーズに柔軟に対応可能です。ただし、サービス内容が充実している分、コストが増大する傾向があります。
2. 販売主体型
販売体制をサポートする環境が整ったタイプです。商品入荷後の注文受付から発送手配、返品処理まで、EC運営に必要なほぼ全ての業務に対応できます。代表例としてAmazonのFBA(フルフィルメント By Amazon)があります。業務負担は大幅に軽減されますが、細かいカスタマイズには制限があります。
3. システム会社主体型
システム会社と提携したタイプです。システム会社が企業の商品や要望に最適なEC物流倉庫を紹介するため、効率的な倉庫探しが可能です。しかし、EC物流倉庫との直接やり取りがないため、3社間での認識違いによるトラブルが発生しやすいというリスクがあります。
〇各タイプの比較表
タイプ | カスタマイズ性 | コスト | 業務 範囲 | 主なメリット | 主なデメリット |
倉庫サービス 主体型 | 高 | 高 | 広範囲 | 柔軟な対応可能 | コスト増大 |
販売主体型 | 低 | 中 | 包括的 | 業務負担軽減 | カスタマイズ制限 |
システム会社主体型 | 中 | 中 | 仲介 | 最適な倉庫選定 | 3社間トラブルリスク |
■EC物流倉庫の4つの特徴
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1. 個人宅へのBtoC出荷がメイン
EC物流倉庫の大部分は「BtoC(企業から個人へ)」を扱います。これは、EC物流の対象がインターネット経由で買い物をする個人消費者がメインとなるためです。出荷パターンが決まっているため、複雑な調整は基本的に不要です。
2. 多品種小ロットでの在庫管理に対応
月間出荷数1,000個以下などの小ロット対応が可能な倉庫が数多く存在します。成長段階の事業者やスポット発生するEC物流作業など、幅広いニーズに対応できます。また、ファッション、日用品、電化製品から食料品、飲料まで、温度管理が必要な商品を含む多種多様な商品の在庫管理が可能です。
3. 多様な流通加工への対応
検品、タグ付け、ラベル貼り、梱包、ラッピング、チラシ・DM封入などの流通加工に対応しています。さらに、食品加工やお菓子の箱詰め・袋詰めを行う倉庫も存在します。これらのサービスを活用することで、業務負担軽減と高品質サービス提供、競合他社との差別化が実現できます。
4. 高品質なアフターフォロー体制
オンラインショッピングでは、消費者が画像や文章のみで購入を決断するため、「思っていた商品と違った」という理由での返品・交換が一定数発生します。処理が遅れると顧客満足度低下やクレームにつながるため、EC物流倉庫には迅速な返品・交換処理体制が求められます。
■EC物流倉庫の重要業務とスピード対応
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EC物流倉庫で最も重要なのは「スピード感のある業務対応」です。EC利用者の多くは「購入した商品をできるだけ早く受け取りたい」という強いニーズを持っているため、物流業務の迅速化が顧客満足度向上に直結します。
〇スピードアップのポイント
項目 | 具体的な取り組み | 効果 |
梱包作業 | 過剰包装を避け、効率的な梱包方法を採用 | 作業時間短縮 |
同封物 | 納品書をメール送信に変更し、同封物を簡素化 | 梱包工程削減 |
倉庫レイアウト | 人気商品を取りやすい位置に配置 | ピッキング時間短縮 |
受注処理 | 受注から発送まで一元管理するシステム導入 | 全体工程効率化 |
競合の多いEC市場において、物流面から顧客満足度を高めることは重要な差別化要素となります。最新の管理システムを活用することで、さらなるスピードアップが実現可能です。
■外部委託のメリット・デメリット
多くのECサイト運営企業が自社スペースのみで商品保管を行っていますが、商品増加に伴いスペース不足が課題となります。そこで検討すべきが「EC物流倉庫業務の外部委託」です。
〇メリット・デメリット比較表
項目 | メリット | デメリット |
対応力 | 急な注文増加・顧客増加に柔軟対応 | 柔軟な体制が取りにくい |
品質 | 専門知識による人的ミス削減、品質向上 | 細やかなサービス対応が困難 |
リソース | 人員・時間を他業務に振り分け可能、人件費削減 | 物流ノウハウが自社に蓄積 されない |
情報共有 | 専門業者による効率的な業務運営 | 情報伝達遅延、トラブル対応 の遅れ |
メリットの詳細
- 繁忙期やテレビ紹介による急激な注文増加にも、専用設備を持つEC物流倉庫なら対応可能
- 専門業者への委託により人的ミス削減と品質改善が期待できる
- 倉庫業務に割いていたリソースを成長戦略や他事業に集中投入できる
デメリットの詳細
- 手書きメッセージ同封などの細やかなサービス提供が困難
- トラブル発生時の責任所在を明確にする運用体制の確認が重要
- 将来の内製化を考える場合、自社にノウハウが残らないリスク
■EC物流倉庫選定の3つのポイント

EC物流倉庫の委託先選定では、以下3つのポイントを重視する必要があります。
1. 倉庫立地の確認
交通状況や天候による配送遅延は顧客満足度に直結します。スムーズな交通経路が確保されている立地の倉庫を選定することが重要です。主要な配送ルートへのアクセス性、災害リスクの低さ、配送業者との連携しやすさなどを総合的に評価しましょう。
2. 業務内容の詳細確認
一口に「EC物流倉庫業務」といっても、委託先によって対応範囲は大きく異なります。自社に必要な作業が対応可能か、詳細な確認が不可欠です。在庫管理、ピッキング、梱包、配送手配、返品処理など、各工程での対応レベルを具体的に確認しましょう。
3. システム連携の確認
自社ECサイトとの在庫管理システム連携の可否は、業務効率に大きく影響します。連携がうまくいかない場合、かえって人的リソースが必要となる可能性があります。API連携の可否、リアルタイム在庫更新、受注データの自動取り込み機能などの確認が重要です。
■EC物流倉庫まとめ

EC物流倉庫は、急成長するEC市場において企業の競争力を左右する重要な要素です。自社に適したEC物流倉庫の選定と活用が成功の鍵となります。
BtoCがメインのEC物流では、入荷から配送まで一貫したスピード対応が求められます。自社でEC物流倉庫を持たない企業にとって、外部委託はコスト削減と業務効率化の有効な手段となります。
ただし、委託先によってサービス内容や対応範囲が大きく異なるため、慎重な選定が必要です。倉庫立地、業務内容、システム連携の3つのポイントを軸に、複数の候補を比較検討することが重要です。
様々なEC物流倉庫の業務内容を調査し、自社が最も必要とする物流管理・配送方法を選択することで、コスト削減とスピーディーな対応の両立が実現できます。メリットとデメリットを十分に比較検討し、長期的な視点で最適な選択を行いましょう。
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